子どもがいじめの被害を受けていることが分かったら、迅速な対応が大切です。子どもの心身のケアに努めるとともに、学校に対して適切な対応を求めましょう。
本記事では、いじめ被害者の保護者の方が最初にとるべき対処法、学校に相談する際の注意点、損害賠償請求の方法、弁護士ができるサポートなどを、段階的に解説します。いじめ被害が深刻な場合は、早めに弁護士にご相談ください。
子どもが学校でいじめられていると知ったとき、保護者としてまず何をすべきか不安に思う方も多いでしょう。
まずは子どもの心身のケアを行い、状況によっては専門家のサポートを受けさせましょう。もし子ども自身が学校に行くことをつらいと感じているなら、通学以外の手段で学習の機会を確保することも検討しましょう。
いじめを受けた子どもは、不安や恐怖、自尊心の喪失といったつらい感情を抱えています。保護者は常に味方であることを伝え、子どもが安心できる環境を整えましょう。
子どもの不安が強い場合は、スクールカウンセラーや医師と連携することも検討しましょう。
子ども自身が学校に行くことを「つらい」と感じているなら、通学以外の方法も視野に入れましょう。学校によっては、オンライン学習、別室登校が可能な場合もある他、学校以外に教育支援センター、通信教育などで学習の機会を確保することが可能な場合もあります。まずは子どもにとって何が最善かを検討し、学校側に相談してみましょう。
まず事実関係を正しく把握する必要があります。子どもからいじめの内容(いつ・どこで・誰に・何をされたのか)を聞き取り、文章にまとめましょう。
聞き取りの際は、問い詰めるような口調は避け、子どもの心情に配慮して寄り添う姿勢を心がけてください。
いじめの客観的な証拠を確保しておくと、学校側や弁護士に相談を求める際に役立ちます。SNSやメッセージの履歴、写真・動画・録音データ、子どもが作成した日記・メモ、医師の診断書などが証拠になりますので、大切に保管しておきましょう。
子どもが再び安心して学校に通えるようになるためには、学校側の協力が不可欠です。子どもの話や証拠をもとに、いじめの状況を学校に伝え、調査や配慮を求めましょう。担任に話をするだけでは十分な対応を引き出せない場合は、学年主任・校長・教育委員会などへの相談も検討します。
学校側の対応が不十分である場合や、損害賠償請求を検討している場合は、弁護士への相談をおすすめします。弁護士は法的な知見や経験に基づき、証拠収集の方法や学校側に対する効果的なアプローチについてアドバイスします。また、学校側や加害者との交渉も行い、必要に応じて、損害賠償請求・和解交渉・訴訟などの手続きも代理で行います。
いじめが暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・器物損壊・名誉毀損などの犯罪に当たる場合は、警察官に対する被害届の提出や刑事告訴を検討しましょう。特に悪質なケースでは、加害者の検挙・処罰につながることがあります。
警察署は、事件が発生した場所を管轄する刑事課にするとスムーズに進む可能性が高まります。
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いじめの被害を立証するためには、客観的な証拠が必要となります。いじめの内容や子どもの状態に応じて、有力な証拠をできる限り豊富に確保することが大切です。
どのような証拠がいじめの立証に役立つのか、具体例や収集時のポイントを解説します。
| いじめの種類 | 証拠の例 | 証拠収集時のポイント |
|---|---|---|
|
①身体的な暴力 |
証拠の例
|
証拠収集時のポイント
|
|
②言葉の暴力・精神的な嫌がらせ |
証拠の例
|
証拠収集時のポイント
|
|
③金品や物に関する |
証拠の例
|
証拠収集時のポイント
|
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いじめについては学校に責任があるケースも多いですが、問題解決の際には学校側の協力が欠かせません。子どもの気持ちを尊重しつつ、学校側と連携していじめ問題の解決を目指しましょう。
保護者と学校の間だけで話を進めてしまい、子どもの気持ちが置き去りにならないように注意しましょう。登校が精神的につらい場合は、具体的にどのような配慮が必要か、子どもの意向を確認しながら学校側と話し合いましょう。
いじめについて学校側に責任があると感じていても、最初から学校側を敵対視するのは避けましょう。学校側に警戒されて、適切な対応をとってもらえなくなるおそれがあるためです。感情的になりそうな場合は、弁護士などの第三者を介して建設的に話し合いましょう。
学校との間で話した内容は、メールやメモ、録音等で記録に残しておきましょう。面談の場に出席していた人や、誰がどのような発言をしたかなども記録します。これらの記録は、学校側との認識の相違を防ぐため、あるいは後日損害賠償を請求する際などに役立つことがあります。
なお、録音・録画の際は最初に許可を得て行うのが原則です。無断録音でも証拠としては認められますが、学校との信頼関係を著しく損ないますし、プライバシー侵害として損害賠償請求されるリスクがあるためです。
いじめの被害を受けた子どもやその保護者は、学校や教育委員会に対して調査などの適切な対応を求めたり、学校・加害者に対して損害賠償を請求したりすることが可能です。
いじめに関する事実関係を明らかにするため、学校に対して調査と報告を求めましょう。学校には、いじめの相談や認知があった際、事実確認と調査を行う義務があります(いじめ防止対策推進法23条第2項)。
学校の調査の結果、いじめが認められる場合には、学校に対していじめを受けた子ども及びその保護者に対する支援を求めるとともに、いじめ加害者対する指導を求めましょう。学校には、被害児童の支援、加害児童の指導等を行う義務があります(いじめ防止対策推進法23条第3項)。
子どもが再び安心して学校に通えるように、いじめの再発防止策を講ずるよう求めましょう。加害者への指導や見守り体制の強化、クラス変更などの対策を具体的に提案することも考えられます(いじめ防止対策推進法第22条、第23条)。
再発防止策がきちんと実施されているかどうか、学校側から継続的に報告を受けることも大切です。
国公立学校におけるいじめについて学校側に責任がある場合は、設置者である国または地方公共団体に対して国家賠償を請求できます(国家賠償法第1条第1項)。損害賠償の対象には、精神的損害の慰謝料、ケガ・精神疾患の治療費などが含まれます。
私立学校におけるいじめについて学校側に責任がある場合は、設置者である学校法人などの他、安全配慮義務を怠った教職員に対しても損害賠償を請求できることがあります(民法第415条、第709条)。損害賠償の対象には、精神的損害の慰謝料、ケガ・精神疾患の治療費などが含まれます。
市町村立の小学校・中学校、義務教育学校、公立の特別支援学校の小学部・中学部では、いじめなどの性行不良であって他の児童生徒の教育に妨げがあると認められる場合、市町村の教育委員会がその保護者に対して、当該児童生徒の出席停止を命ずることができます(学校教育法第35条第1項)。
加害者が登校を続けていることにより、子どもが精神的に不安定になっている場合は、教育委員会に連絡して出席停止命令の発令を求めることを検討しましょう。
いじめに遭ったことにより支出を余儀なくされた費用(治療費など)や、精神的苦痛による損害(慰謝料)については、加害者側に対して損害賠償を請求できます。弁護士のサポートを受けながら請求を行い、適正額の賠償金の獲得を目指しましょう。
いじめの被害者は、加害者やその保護者、学校の設置者などに対して損害賠償を請求できることがあります。損害賠償請求ができるケースや請求先、対象となる損害(費用)や金額相場を解説します。
「重大事態」とは、いじめによって被害者の生命・心身・財産に重大な被害が生じ、または相当の期間(年間30日以上など)、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある事態です(いじめ防止対策推進法第28条第1項)。
重大事態と認められるいじめ行為があった場合、被害者には重い損害が生じていることが多いため、加害者やその保護者は損害賠償責任を負う可能性が高くなります。
また、学校側は重大事態への迅速な調査や対処、再発防止措置を行う法律上の義務を負います。学校側が適切な対応を怠った場合は、学校側に対する損害賠償請求も認められやすくなります。
いじめ被害者は、加害者本人やその保護者に対して損害賠償を請求できます。また、学校側に責任がある場合は、学校の設置者や教職員等にも請求できる場合がありますが、国公立学校か私立学校かによって請求できる相手や請求先が異なりますので注意が必要です。
いじめ加害者本人に責任能力(=自分の行為の結果を判断できる精神能力)があれば、本人に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できます。責任能力のボーダーラインは、おおむね10~12歳程度です。
加害者本人に責任能力がない場合は、その保護者に対して監督義務者の責任に基づく損害賠償を請求できます。
また、加害者本人に責任能力がある場合でも、保護者の監督責任を問うことができる場合は、保護者に対しても不法行為に基づく損害賠償を請求する余地があります。
学校側にいじめ対策の不備などの安全配慮義務違反が認められる場合は、設置者である国や地方公共団体に対して国家賠償(損害賠償)を請求できます。教職員個人に対する請求はできません。
学校側にいじめ対策の不備などの安全配慮義務違反が認められる場合は、設置者である学校法人などに対して損害賠償を請求できます。また、児童生徒に対する監督義務を怠った教職員個人に対しても、不法行為に基づく損害賠償を請求できることがあります。
いじめの被害者が賠償を請求できる損害の項目としては、慰謝料・治療費・休業損害・転居費用(転校費用)・弁護士費用などが挙げられます。弁護士のサポートを受けながら、適正額の賠償金の獲得を目指しましょう。
いじめによって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。慰謝料の適正額は、いじめの内容・悪質性・期間・頻度や、精神疾患の有無・程度などによって決まります。特に被害者が重度の精神疾患を発症した場合などには、高額の慰謝料が認められる傾向にあります。
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いじめが原因でケガをし、または精神疾患を患い、治療やカウンセリングを受けた場合には、その実費相当額が損害賠償の対象となります。診断書や領収書を保管し、ケガや精神疾患がいじめによるものだと証明できるように準備しましょう。
子どもの通院への付き添いや看病などのために保護者が仕事を休んだ場合は、その日数や収入額に応じた休業損害の賠償を請求できます。休業日数が多くなった場合や、保護者が高所得者である場合は、高額の休業損害が認められる可能性が高いです。
訴訟で損害賠償が命じられた場合は、認められた賠償金額の1割に相当する弁護士費用が加算されることが一般的です。弁護士費用全額が補填されるわけではありませんが、訴訟になる場合は漏れなく請求しましょう。
なお、和解によって解決する場合は、弁護士費用の精算は行わないのが通例となっています。
いじめ(不法行為)の損害賠償請求権には消滅時効が設けられており、時効期間が経過すると損害賠償を請求できなくなります。
損害賠償請求権の時効期間は、ケガ・後遺症・死亡による損害については「損害および加害者を知った時から5年」、それ以外の損害については「損害および加害者を知った時から3年」です。
加害者や学校側との話し合いが続いていても、内容証明郵便の送付や訴訟の提起などを行わなければ、時効期間は進行します。早めに弁護士へ相談し、時効完成前に適切な手続きを取ることが重要です。
学校に相談しても、いじめについて十分な調査や対応が行われないときは、学校以外の窓口に相談して解決を図りましょう。相談先としては、市区町村の教育委員会や都道府県の私立学校主管部課、警察や弁護士などが挙げられます。
いじめの証拠を集めて整理したうえで、学校側に対して事実確認や再発防止策などを求める要望書を提出しましょう。とるべき対応を具体的に示せば、学校側はそれに応じる可能性があります。
要望書を提出したにもかかわらず、学校側が適切な対応をとらなかった場合は、その事実を根拠に損害賠償を請求することも検討しましょう。
学校が十分な対応を行わないときは、国公立学校であれば市区町村の教育委員会、私立学校であれば都道府県の私立学校主管部課(私学振興課など自治体による名称は異なります)へ相談しましょう。
学校を管轄する上位機関から、適切な調査や対応を行うよう、指導・助言がなされることがあります。
いじめの内容によっては、暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・器物損壊・名誉毀損などの犯罪に当たるケースもあります。これらの犯罪の被害を受けたときは、すぐに警察へ相談しましょう。被害届の提出や刑事告訴を行えば、いじめに対する捜査を通じて加害者の検挙につながることもあります。
警察に相談する際には、いじめの客観的な証拠を持参することが望ましいです。
学校側との話し合いが進まない場合や、損害賠償請求などの法的対応を視野に入れる場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士は被害者の代理人として、学校側との交渉や損害賠償請求などを全面的にサポートいたします。また交渉の場には出ず、アドバイスのみ行うことも可能です。
いじめ被害の状況に応じて、ご本人やご家族の気持ちに寄り添いながら迅速に対応する点が、弁護士の大きな特徴です。
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加害者側がいじめの事実を認めないときは、証拠を示しながらいじめを認めるように説得しましょう。それでも加害者側が応じないときは、弁護士に相談して法的措置をとることをおすすめします。
録音データ、SNSやチャットの履歴、写真・動画などの客観的な証拠を示し、加害者側に対していじめの事実を提示しましょう。損害賠償請求する際にも、いじめの事実を証明する必要があるため、証拠の確保は重要です。
証拠を示しても加害者側がいじめを認めないときは、内容証明郵便で損害賠償を請求しましょう。
内容証明郵便には、いじめの事実関係や請求する損害賠償の金額・内容、回答期限などを明示します。これらを正式な書面にまとめて送付すれば、加害者側に事態の重大性を伝えることができます。
学校には、いじめの相談や認知があった際、事実確認と調査を行う義務があります(いじめ防止対策推進法23条第2項)。加害者がいじめを認めない場合には、学校の調査を通じていじめを認定してもらうことも手段のひとつです。
加害者側への対応で悩んだ際は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は証拠の整理や見通しの検討、内容証明郵便の作成・送付や加害者側との交渉などを通じて、いじめ被害の回復を粘り強くサポートします。また、訴訟(裁判)を起こす必要が生じた場合にも、一貫してサポートを受けることができます。
弁護士は、いじめ被害者やそのご家族のために幅広いサポートを行っています。子どもがいじめに遭っていることが分かったら、早めに弁護士へご相談ください。
いじめ被害の解決に向けて弁護士ができる主なサポートをご紹介します。
どのような証拠がいじめ問題の解決や損害賠償の獲得に役立つかを分析・判断し、証拠の収集方法をアドバイスいたします。気づきにくい証拠でも弁護士のアドバイスによって確保でき、スムーズな解決へとつながることがあります。
調査や再発防止策に関する学校・教育委員会とのやりとりや、損害賠償請求に関する学校・加害者側との交渉を弁護士にお任せいただけます。弁護士の法的根拠に基づく対応によって有利な解決を得やすくなるとともに、交渉に伴う労力やストレスも大幅に軽減されるでしょう。
「裁判にはしたくない」「弁護士を表に出したくない」といったご希望をお持ちの場合は、弁護士は見通しの検討や交渉に関する助言などのバックアップに徹します。保護者の方が適切に対応できるように、実務経験を生かしたアドバイスでサポートいたします。
暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・器物損壊・名誉毀損などの犯罪について、加害者の処罰をご希望の場合は、警察への被害届の提出や刑事告訴を弁護士がサポートいたします。弁護士は事実関係がよく整理された被害届や告訴状を作成し、客観的な証拠とともに警察へ提出します。
加害者や学校が損害賠償に関する示談に応じないときは、弁護士が代理人として裁判所に訴訟を提起します。訴訟において、弁護士がいじめの事実関係や被った損害などを適切に立証することにより、和解や判決によって有利な解決を得やすくなります。
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