子どもがいじめ加害行為をしていた場合、もしくは加害行為をしていたと疑われた場合、まずは事実関係を正しく把握することが大切です。親として感情的になってしまうのは当然ですが、学校や弁護士の力を借りながら、できるだけ冷静に対処するよう心がけましょう。
本記事では、いじめ加害者、いじめ加害を疑われている方の保護者に向けて、とるべき対応や注意点などを弁護士が解説します。
子どもがいじめをしていると疑われた場合、保護者は事実関係を正しく把握した上で、解決への協力や子どもへの指導を行うことが求められます。
状況のヒアリング方法をはじめ、損害賠償請求を受けた場合、少年事件に発展した場合など、段階的に対応を解説します。
落ち着いて子どもの話を聞き、本当にいじめをしたのか、どのような経緯があったのかなどを確認しましょう。一方的に叱責したり決めつけたりせず、学校や被害者からの説明も踏まえて、客観的に事実関係を把握するよう心がけましょう。
子どもがいじめをしたことが事実であれば、被害者やその保護者に対する謝罪を検討しましょう。ただし、被害者に突然接触すると、かえってトラブルを招くこともあります。謝罪の方法や時期などは、学校を間に挟みつつ相談しながら調整しましょう。
学校がいじめの調査を行う際は、誠実に協力し、知っている事実を正直に伝えましょう。また、子どもに対しても、学校の調査に協力するよう促しましょう。調査を妨げたり、証拠の隠蔽を図ったりすると、問題の解決が遅れるだけでなく、法的責任が重くなる可能性もあります。
被害者からいじめによって受けた損害(慰謝料など)についての賠償を請求されたときは、弁護士に相談しながら内容や金額を慎重に検討しましょう。被害者との示談交渉や訴訟などの対応も、弁護士に一任して進めると安心です。
犯罪(暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・器物損壊・名誉毀損など)に当たるいじめを行っていた場合は、少年事件として捜査を受け、家庭裁判所で少年審判が行われることがあります。子どもの将来への影響を考慮し、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
いじめが事実であれば、直ちに加害行為をやめさせましょう。その上で、被害者に与えた苦痛や影響について考えさせ、反省を促すことが大切です。叱るだけでなく、自らの行動を振り返って責任を自覚できるように、子どもと真摯に向き合い諭しましょう。
子どもがいじめを繰り返さないためには、いじめに至った原因を確認し、それを解消することが重要です。いじめの原因としては、友人関係や学業のストレス、家庭における問題などが考えられます。子どもからよく話を聞き、保護者も協力して解決に取り組みましょう。
いじめをする背景には、精神疾患や発達上の特性などが存在するケースもあります。この場合はスクールカウンセラー・医師・臨床心理士などの専門家のサポートが必要です。子どもと向き合って話をした上で、状況によっては専門家のカウンセリングを受けさせましょう。
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いじめを疑われたものの、実はいじめを行っていなかったというケースは少なくありません。
「うちの子どもがそんなことをするはずがない」と盲信してはいけませんが、かといって最初から加害者と決めつけてかかるのも禁物です。まずは冷静に子どもの話を聞き、事実の把握に努めましょう。記憶が曖昧になることも多いため、ヒアリングの際はメモをとる、周りの児童・生徒から話を聞くなどして書き出していくとよいでしょう。
その上で、いじめが事実であると思えない場合は、ヒアリングの内容や証拠を提示し、学校に再調査を要請しましょう。情報収集や学校への対応が難しい場合、早めにいじめ問題に対応できる弁護士に相談することをおすすめします。
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いじめの被害を訴える側から内容証明郵便が送られてきたら、その内容を慎重に検討した上で対応しなければなりません。無視や感情的な対応などは控え、適切な形での解決を目指しましょう。
「内容証明郵便」とは、郵便局が差出人・宛先・差出日時・内容を証明する郵便物です。重要な事項を通知する際などに用いられます。郵便局のサービスのひとつであり、法的効力はありません。
送付側の意図として考えられるのは、正式な請求の体裁をとることで「いじめ被害を責任追及する意思を明らかにする」「損害賠償請求権の時効完成を阻止したい」などが考えられます。
内容証明郵便に対して返信せず無視していると、被害者から裁判所に訴訟を提起される(裁判を起こされる)おそれが高まります。訴訟が始まると、穏便に解決できる可能性が低くなってしまいます。
内容証明郵便の内容に納得がいかず感情的な対応をとると、不利な立場に追い込まれるおそれがあります。たとえば「自分の子どもに限っていじめをするなんてあり得ない」「いじめられる側も悪かった」などと根拠なく言ったり、相手の自宅に押しかけたりする行為はやめましょう。
実際にはいじめをしたのに、うそをついてその事実をごまかしてはいけません。後からうそであることが発覚すると、損害賠償請求や少年事件、学校の懲戒処分などの手続きにおいて、不利益に考慮されるおそれがあります。
早期解決を望むあまり、内容をよく検討せずに被害者の請求に応じることも避けましょう。相場よりも大幅に高い金額を支払うことになったり、示談後に追加請求を受けたりするおそれがあります。被害者側から示談条件を提示されたら、まずは弁護士に相談し、慎重に対応することをおすすめします。
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いじめをした児童・生徒は、学校から指導措置や懲戒処分を受けることがあります。どのような処分を受ける可能性があるか確認しておきましょう。
| 教育委員会が出席停止を命じることが できる学校 |
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市町村立の小中学校・義務教育学校・公立の特別支援学校の小学部・中学部は、退学や停学の処分は認められていません。しかし、他の児童・生徒への教育に妨げがあると認められる場合は、市町村の教育委員会によって出席停止が命じられることがあります。
出席停止命令が行われないとしても、別室での指導や保護者に対する指導が行われることは十分考えられます。
| 退学処分・自主退学勧告を受ける 可能性がある学校 |
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| 停学処分を受ける可能性がある学校 |
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私立・国立・都道府県立の小中学校においては、学校の内部規則に基づく退学処分が認められています。また、高校では国公立・私立を問わず退学や停学処分を受ける可能性があります。
なお、退学処分でなくとも、学校側から自主退学をするよう勧告されるケースもあります。勧告を拒否したときは、退学処分が行われる可能性があります。
停学処分は高校以上の生徒・学生に行える処分です。国公立・私立を問わず、小中学校では停学処分は認められていません。
いじめ防止対策推進法第25条では、校長および教員が教育上必要と認めるときは、いじめの加害者である児童等に対して懲戒を加えるものとしています。この規定は、国公立・私立を問わず適用されます。
たとえば訓告や厳重注意を受けたり、反省文の提出を指示されたり、部活動や学校行事への参加を制限されたりするなどです。
いじめの加害行為を原因として学校から処分を受けたときは、その処分の内容が適切かどうか、法的に検討した上で、必要に応じて見直しを求めましょう。退学処分や停学処分を受けた場合は、学校に行けない期間の子どもの学習機会を確保することも大切です。
事実認定に誤りがある場合や、いじめの内容に照らして処分が不当に重すぎる場合には、学校にその旨を伝え、処分の見直しと復学を求めた交渉を行いましょう。場合によっては、裁判所への申し立てが必要になります。学校への反論に当たっては法的検討を要するため、弁護士に相談することをおすすめします。
退学や停学によって通学が難しくなったときは、子どもの学習機会の継続的な確保について検討しましょう。他校への転校、オンラインの家庭学習、フリースクールに通うなどが考えられます。
いじめが犯罪に該当する場合は、被害者によって被害届や告訴状が提出されることがあります。この場合、警察が少年事件として捜査に動く可能性が高いです。
いじめの内容や加害者の年齢などによりますが、14歳以上で悪質な犯罪行為をした場合は逮捕されることもあり得ます。また、14歳未満であれば逮捕はされませんが、警察の調査、児童相談所への通告、家庭裁判所への送致が行われることもあります。
詳しくは後述の「いじめ加害で逮捕される可能性はある?」で解説します。
いじめをした加害者は、被害者側から損害賠償を請求される場合もあります。加害者本人に責任能力がない(10~12歳未満が目安)場合は、本人ではなく監督義務者である保護者が賠償責任を負います。
以下のような重大な結果を招いた場合は、高額の損害賠償責任を負う可能性があります。
いじめを苦にした被害者が自殺をした場合は、数千万円以上もの高額な損害賠償責任を負うことがあります。
自殺が未遂にとどまったとしても、被害者に後遺症が残った場合や、被害者の精神的ケアに長期間を要した場合などには、高額の損害賠償責任を負う可能性があります。
いじめから逃れるために被害者が転校や転居をした場合は、引っ越し費用などの実費に加え、被害者の苦痛・負担も大きくなります。いじめの内容や被害者の状態などによりますが、数百万円以上の損害賠償を請求されるケースも考えられます。
いじめによって被害者が不登校になった場合、被害者が精神科を受診したケースでは通院費用、親が仕事を休んだケースでは休業損害などが発生し、加害者は高額の損害賠償責任を負うことがあります。
いじめの内容によっては、被害者に重篤な後遺症が残ることがあります。たとえば、加害者がひどい傷害行為をした場合は被害者に身体障害が残るケースもありますし、強い精神的苦痛を与えた場合はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するケースもあります。
被害者に重い後遺症が残った場合、加害者は数百万円~数千万円以上の損害賠償責任を負う可能性があります。
加害者がいじめによって被害者から金銭を奪ったり、被害者の所有物を壊したりした場合は、その損害全額を賠償しなければなりません。高額の金品を奪ったり壊したりした場合は、数十万円~数百万円以上の損害賠償責任を負うことがあります。
暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・器物損壊・名誉毀損などの犯罪に当たる行為は、いじめの中でも悪質性が高いものです。加害者がこのような行為をした場合は、被害者に強い精神的苦痛を与えたものとして損害賠償が高額化するでしょう。
たとえ過去のいじめであっても「時効期間」が経過していなければ、損害賠償責任を免れることはできません。
具体的には、生命・身体の侵害による損害の時効期間は「被害者が損害および加害者を知った時から5年」です。
「生命・身体の侵害」とは、ケガ・後遺症・死亡のほか、うつ病やPTSDなどの精神疾患も含まれる可能性があります。「損害を知った時」は、損害の内容によって異なりますが、たとえば、ケガをした時点、後遺症で症状固定の診断を受けた時、死亡時などです。
上記以外の損害については、時効期間は「被害者が損害および加害者を知った時から3年」とされています。また、いじめ行為の時から20年が経過した場合も、原則として請求できなくなります。
被害者から損害賠償請求をされたときは、言われるがまま要求に応じてしまうと、思わぬ不利益を被る可能性があります。まずは請求内容を冷静に確認し、必要に応じて弁護士への相談を検討しましょう。
いじめ加害について損害賠償を請求されたときは、被害者からの請求が法的に正当かどうかを確認しましょう。そもそも実際にいじめをしたのか、いじめとは関係がない損害の賠償まで請求されていないか、時効期間は経過していないかなど、法的な検証が必要になることもあるため、弁護士への相談をおすすめします。
いじめをした事実があっても、提示された賠償金を支払う前に、請求された金額が適正かどうかを確認することが重要です。被害者に診断書や領収書など損害の証拠となる資料の提出を求め、相場より提示額が過大でないか検討し、弁護士のサポートを受けながら慎重に交渉を進めましょう。
加害者が暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・器物損壊・名誉毀損などの犯罪に相当するいじめをしたときは、年齢によっては逮捕されることもあります。
いじめが犯罪に当たる場合は、加害者は逮捕されることがあります。刑事責任能力が認められる14歳以上なら、逮捕される可能性があるので要注意です。
14歳未満の少年(法律上の表現。性別を問わず20歳未満は「少年」として表記される)は刑事責任能力がないため、犯罪の責任を負わず、逮捕もされません。ただし、警察官に補導された後、少年事件の手続きを経て保護処分(保護観察・少年院・児童自立支援施設送致など)を受けることがあります。
14歳以上の少年には刑事責任能力が認められるため、犯罪行為をすると逮捕される可能性があります。基本的には少年法に従って少年審判が行われますが、重大犯罪については家庭裁判所から検察官への逆送が行われ、成人と同様の刑事手続きが行われるケースもあります。
16歳以上の少年が故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた場合は、原則として家庭裁判所から検察官への逆送が行われ、成人と同様の刑事手続きで審理されることになっています。その他の犯罪についても逮捕される可能性はあるものの、重大な犯罪に当たる場合などを除き、少年法に従って少年審判が行われます。
18歳・19歳の場合は、少年法上「特定少年」に当たります。特定少年も「少年」であるため、逮捕された場合でも、原則として少年法に従って少年審判が行われます。
ただし、家庭裁判所が罪質(犯した罪の内容や悪質性の度合い)・情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、検察官に対して逆送されます。この場合、成人と同様の刑事手続きによって審理され、さらに起訴された場合は実名報道が可能となるので注意が必要です。
20歳以上の場合は「少年」に当たらず、成人として刑事手続きにかけられます。逮捕されることもありますし、起訴されて有罪判決が確定すれば刑罰が科されます。
いじめの加害者が20歳未満であるときは、原則として通常の刑事事件ではなく、少年法に従って少年審判が行われます。家庭裁判所が審理を行い、必要に応じて保護観察や少年院送致などの保護処分が決定されます。
ただし、重大事件については検察官へ「逆送」され、成人同様の刑事事件として審理されることもあります。
逮捕された直後は、保護者であっても面会が制限される場合が多いです。接見禁止や制限がある段階で面会・サポートができるのは弁護士のみです。
逮捕された子ども本人は不安や心細さを感じていることでしょう。解決のためには、まずは早期に弁護士へご相談ください。調査や取り調べに対する助言を行い、できる限り子どもの将来に大きな影響が出ないようにサポートいたします。
弁護士はいじめの加害者やその保護者をサポートするため、損害賠償請求や少年事件に関する対応などを行います。弁護士によるサポートの主な内容は、次のとおりです。
いじめの調査や子どもの処分に関する学校や教育委員会とのやりとり、謝罪や損害賠償に関する被害者側との交渉などを弁護士が代行します。弁護士を代理人に立てることで、法的な観点から適切に対応できるとともに、時間的負担やストレスも軽減されるでしょう。
弁護士に依頼したことを他人に知られたくないという場合には、弁護士が表立って交渉はせず、証拠集めや交渉方法のアドバイスのみを行う後方支援をすることも可能です。
被害者から請求された損害賠償の内容や金額について、弁護士が法的な観点から妥当性を検討し、交渉の方針をアドバイスいたします。不当な請求が行われた場合であっても、被害者側の言いなりになることなく、適正な金額での解決を目指すことができます。
いじめについて少年事件として審理が行われることになったときは、弁護士が付添人として活動します。事実をしっかり調査し、不当に重い保護処分にならないよう家庭裁判所に働きかけて、子どもの将来を守ります。
被害者との間で、損害賠償請求に関する交渉がまとまらず、訴訟に発展するケースもあります。訴訟では弁護士が代理人として、客観的な事実関係や過去の裁判例などに基づく主張を行い、裁判所や相手方に対して適正な内容の解決を求めます。
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