いじめの弁護士コラム

暴力によるいじめを解決するために取れる方法と弁護士ができること

  • いじめ
2024年01月23日
暴力によるいじめを解決するために取れる方法と弁護士ができること

いじめの態様はさまざまですが、特に暴力を伴ういじめは悪質であるといえます。

もし子どもが暴力を伴ういじめを受けている場合には、弁護士や警察にも相談しながら早急に解決すべきです。

本記事では、暴力を伴ういじめを解決するためのポイントや方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。


1、暴力を伴ういじめとは

学校におけるいじめには、言葉による侮辱、無視(仲間外れ)、SNS上での誹謗中傷、物を壊す・隠す・汚す、行為の強要などさまざまなパターンがあります。

その中でも、暴力を伴ういじめは悪質であり、ケガ・後遺障害・死亡などの重大な結果につながりかねません。そのため警察や弁護士にも相談して、一刻も早い解決を目指すことが大切です。

  1. (1)暴力を伴ういじめの例

    暴力を伴ういじめとしては、以下のような例が挙げられます。

    • 殴る
    • 蹴る
    • 突き飛ばす
    • わざと足を引っかけて転ばせる
    • 暴力を用いて金品を脅し取る(恐喝、強盗)
    • 暴力を用いて義務のないことを無理やりさせる(強要)
    など
  2. (2)暴力を伴ういじめの件数

    文部科学省が令和4年度に実施した、児童生徒の問題行動などに関する調査では、暴力を伴ういじめの件数が以下のとおり集計されています。


    小学校 中学校 高等学校 特別支援学校
    軽くぶつかられたり、
    遊ぶふりをしてたたか
    れたり、蹴られたりする
    国立:1090件
    公立:14万0036件
    私立:577件
    計:14万1703件
    国立:88件
    公立:1万5506件
    私立:319件
    計:1万5913件
    国立:1件
    公立:957件
    私立:347件
    計:1305件
    国立:38件
    公立:672件
    私立:2件
    計:712件
    15万9633件
    ひどくぶつかられたり、
    たたかれたり、
    蹴られたりする
    国立:378件
    公立:3万6836件
    私立:156件
    計:3万7370件
    国立:34件
    公立:6019件
    私立:128件
    計:6181件
    国立:0件
    公立:352件
    私立:115件
    計:467件
    国立:7件
    公立:156件
    私立:0件
    計:163件
    4万4181件

    出典:「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について p31」(文部科学省)

    暴力を伴ういじめは、全国の小・中・高等学校、特別支援学校、いずれを見ても多数発生しています。特に小学校においては、さまざまないじめの態様の中でも、暴力を伴ういじめの件数が多い傾向があります。

2、暴力を伴ういじめの特徴と解決のためのポイント

暴力を伴ういじめを解決するためには、その特徴を理解したうえで、ポイントを押さえた対応をとることが大切になります。

  1. (1)暴力を伴ういじめの特徴

    暴力を伴ういじめは、被害者がケガを負うケースが多いため、ほかの態様のいじめに比べて保護者が気づきやすい傾向にあります。
    しかしそれ故に、保護者が先走って性急な対応をしてしまい、かえって解決が遠のいてしまうことも多いといえます。そのため、後述するポイントを理解したうえで適切に対応を進めましょう。

  2. (2)暴力を伴ういじめを解決するためのポイント

    暴力を伴ういじめを適切に解決するためには、まず子どもとよく話し合ったうえで、子どもにとってベストな対応方針を検討することが大切です。状況に応じて警察や弁護士とも連携し、どのような解決を目指すべきかについて検討しましょう。

    また、加害者が言い逃れできないように、暴力の証拠を確保することも重要です。ケガの状況に関する医師の診断書に加えて、加害者とのメッセージのやり取りや暴力の現場の録音・録画などを保存しておきましょう。

3、暴力を伴ういじめを解決するための方法・手続き

暴力を伴ういじめを解決するため、被害者およびその家族は以下の方法・手続きを検討することができます。


  1. (1)学校との間でコミュニケーションをとる

    暴力を伴ういじめを解決するためには、学校側の協力を得ることが望ましいといえます。

    いじめに関する情報共有・加害者側に対する働きかけ・被害者と加害者の引き離しなどについて、学校側が果たすべき役割は大きいといえます。そのため、学校との間で緊密にコミュニケーションをとり、協力していじめの解決を目指しましょう。

  2. (2)学校と加害者やその親との間で話し合い・示談交渉を行う

    暴力を伴ういじめを止めさせるためには、加害者側に対する働きかけが必要です。学校主導で加害者やその親に働きかけてもらうことが望ましいですが、学校側の協力を得られなかったり、加害者が学校に隠れていじめを続けたりするケースもあります。

    このような場合には、親同士が話し合いを行うことも考えられます。また、弁護士を通じて話し合いを行うことで、加害者側が自らの行動を省みて、いじめを止めるケースもあります。

    加害者との話し合いにおいては、損害賠償(金銭の支払い)の交渉も行うことが可能です。ケガの治療費や慰謝料など、加害者側に対して賠償を請求できる損害項目は多岐にわたります。特に暴力によって後遺障害が残ってしまった場合は、損害賠償が極めて高額になる可能性があります。損害賠償を請求する際には、法的な根拠に基づいて損害額を適切に集計し、漏れのないように請求を行いましょう。

  3. (3)損害賠償請求訴訟を提起する

    損害賠償に関する加害者側との示談交渉が決裂した場合は、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起することが可能です。

    訴訟では、暴力によるいじめを受けた事実や被った損害の額などを被害者側が立証しなければなりません。いじめ現場の録音・録画やケガの写真、医師の診断書などの有力な証拠をそろえて、訴訟に向けた万全の準備を整えましょう。

    損害賠償請求訴訟の手続きは専門性が高く、一般の方には対応が難しい面があるので、弁護士へのご依頼をおすすめします。弁護士は被害者の代理人として、損害賠償請求訴訟の準備や対応を全面的に代理いたします。

  4. (4)刑事告訴する

    暴力を伴ういじめについては、以下のような犯罪が成立することがあります。

    ① 暴行罪・傷害罪・傷害致死罪(刑法第208条、第204条、第205条)
    被害者がケガをしなかった場合は暴行罪、ケガをした場合は傷害罪、ケガをした結果死亡した場合には傷害致死罪が成立します。
    法定刑は、それぞれ以下のとおりです。
    ・ 暴行罪:2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
    ・ 傷害罪:15年以下の懲役または50万円以下の罰金
    ・ 傷害致死罪:3年以上の有期懲役

    ② 現場助勢罪(刑法第206条)
    行為者に傷害罪または傷害致死罪が成立するケースにおいて、その現場において勢いを助けた者には現場助勢罪が成立します。
    現場助勢罪の法定刑は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料」です。

    ③ 強要罪(刑法第223条)
    脅迫や暴行を用いて義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者には強要罪が成立します。
    強要罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。

    ④ 恐喝罪(刑法第249条)
    脅迫や暴行を用いて財物(金品)を交付させた者には恐喝罪が成立します。
    恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
    など

    暴力を伴ういじめが上記のような犯罪に当たる場合、被害者またはその法定代理人は、検察官または警察官に対して刑事告訴ができます(刑事訴訟法第230条、第231条第1項)。

    刑事告訴をすると、処罰を求める意思とともに事件の内容が捜査機関の知るところとなるため、加害者に刑事罰が科される可能性が高まります。

  5. (5)弁護士に相談する

    暴力を伴ういじめは悪質であるため、上述のとおり、最終的には損害賠償請求や刑事告訴を検討するケースもあります。その前提として、法律の専門家である弁護士にアドバイスを求めることは有意義な場合が多いでしょう。

    損害賠償請求を行わない場合でも、初期段階から弁護士に相談すれば、適切な解決方法を弁護士が検討のうえ、学校に対する調査の働きかけや、学校・加害者とのやり取りを一任することができるので、負担を軽減しながら問題解決に向けた対応を進めることができます。暴力を伴ういじめへ適切に対応するためには、お早めに弁護士へご相談ください

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4、いじめ問題は弁護士に相談を

学校におけるいじめ問題の解決に向けて、弁護士は幅広いサポートを行っています。学校や加害者とのやり取りを代行することのほかにも、大ごとにしたくない場合は弁護士が後方からサポートすることも可能です。

また、加害者に対する損害賠償請求や刑事告訴についても、弁護士が書類の作成や手続きへの対応をサポートいたします。さらに、学校や教育委員会に対していじめ防止の取り組みを強く要請し、子どもが安心して学校に通える環境づくりにも尽力いたします。

子どもが学校でいじめを受けている場合は、お早めに弁護士へご相談ください。

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5、まとめ

暴力を伴ういじめを解決するためには、性急に行動するのではなく、弁護士や警察と連携して対応することが大切です。いじめの証拠をできる限り確保したうえで、学校・加害者との話し合いや訴訟・刑事告訴などの法的手続きに臨みましょう。

ベリーベスト法律事務所は、学校におけるいじめ問題に関するご相談を受け付けております。子どもがいじめられている可能性があり、早期解決を目指したい場合は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立 2010年12月16日
連絡先 [代表電話]03-6234-1585
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  • ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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