いじめの弁護士コラム

いじめ動画でトラブルに! 拡散の危険性と弁護士ができること

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更新日:2026年05月14日 公開日:2026年05月14日
いじめ動画でトラブルに! 拡散の危険性と弁護士ができること

スマートフォンやSNSが普及して以降、学校現場ではいじめの場面を撮影した動画(暴行動画など)の投稿によるトラブルがしばしばニュース等で報道されています。

いじめ動画の拡散は、加害者側が面白がって行うケースだけではなく、被害者が加害者への社会的制裁を目的に行うケースや、第三者が正義感からいじめの事実を知らしめようとして行うケースなど、さまざまな原因により発生します。しかしどのような理由であっても、いじめ動画の拡散は、刑事・民事上の法的責任を負うおそれがある行為です。

本記事ではいじめ動画によるトラブルについて、投稿・拡散した人が負う法的責任、子どもが当事者となった場合の対処法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。


1、いじめ動画はなぜ拡散されるのか?

学校現場でいじめ動画が拡散されるようになった大きな要因は、スマートフォンやSNSが幅広く普及したことです。

  1. (1)増え続ける子どもたちのスマホ・SNS利用

    こども家庭庁が令和7年度に行った調査によれば、スマートフォンでのインターネット利用率は小学生で48.3%、中学生で84.8%、高校生で97.1%に上ります。

    また、スマートフォンを用いてインターネットを利用している青少年(小学生・中学生・高校生)のうち、「LINE、Instagram、X、Facebook等のSNSでコミュニケーションをする」と回答した人は87.4%に上り、増加傾向にあります。

    参考:「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」(こども家庭庁)

  2. (2)過激な投稿が注目されがちなSNS

    SNSの中には、過激で議論を呼ぶ動画が注目を集める仕組みになっているものもあります。そのため、注目が高まり「いいね」や拡散等の反応が急増する、いわゆる「バズる」ことを目標にSNS投稿を行う子どもも少なくありません。

    いじめ動画は内容が過激であるため注目を集めやすく、「バズる」ための素材として悪用されるケースがあるようです。

    他方で、いじめを把握していながら十分に対応しない学校側に対して不信感を抱いた児童・生徒が、正義感からいじめ動画を撮影してSNS上へ投稿するケースなども考えられます。
    悪意はなくとも、いじめ動画は好奇の目を集めて拡散され、投稿者がコントロールできない事態に陥ってしまうおそれがあります。

2、いじめ動画を撮影・投稿するとどんな責任を負う?

いじめ動画を撮影・投稿した人は、名誉毀損罪によって処罰を受ける、または不法行為に基づく損害賠償責任を負うおそれがあります。

再投稿(リポストなど)によっていじめ動画を拡散しただけでも、損害賠償責任を負う可能性があるので十分ご注意ください。

  1. (1)名誉毀損罪

    名誉毀損罪」は、他人の社会的評価を下げるような言動をした場合に成立する犯罪です(刑法第230条第1項)。名誉毀損罪に当たる行為をすると「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」に処されます。

    いじめ動画の投稿は、主にいじめ加害者の社会的評価を下げる行為に当たるほか、動画の内容によってはいじめ被害者の社会的評価を下げる場合もあるため、名誉毀損罪に該当する可能性があります。

    名誉毀損罪は、投稿の内容が真実であり、かつ公共性・公益性が認められる場合には、成立しません(刑法第230条の2第1項)。

    しかし、いじめの加害者に対する責任追及は、学校による処分や刑事手続き、被害者による損害賠償請求などによって行われるべきです。動画を拡散して私的制裁(リンチ)を与えるような行為には、公益性は認められにくいと考えられます。

  2. (2)不法行為に基づく損害賠償責任

    いじめ動画が拡散されると、いじめ加害者・被害者の学校生活や社会生活に支障が生じるおそれがあります。

    いじめ動画の投稿が名誉毀損などの違法行為に当たる場合、投稿により損害を受けたいじめ加害者・被害者に対して、投稿者は不法行為に基づきその損害を賠償しなければなりません(民法第709条)。

    損害賠償の額はケース・バイ・ケースですが、数十万円から100万円以上になる場合も考えられます。いじめ動画が広く拡散されて、加害者や被害者が甚大な損害を被った場合は、さらに高額な損害賠償が命じられる可能性があります。

  3. (3)リポストなどでいじめ動画を拡散しただけでも、責任を負う可能性あり

    いじめ動画を最初に投稿した人だけでなく、再投稿(リポストなど)によって拡散した人も、いじめ加害者や被害者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

    いじめ動画の拡散に加担したことによって、損害を拡大させたと評価され得るからです。

    また、引用リポストで被害者や加害者に対して侮辱するようなコメントをつけて再投稿した場合は、侮辱罪も成立する可能性があります(刑法第231条)。侮辱罪の法定刑は「1年以下の拘禁刑または30万以下の罰金」です。

    SNSの再投稿はごく簡単な操作で行うことができるため、罪悪感を得にくい側面がありますが、本当に拡散やコメントをしてよいのかどうか立ち止まって考えることが大切です。

3、子どものいじめ動画トラブルにはどう対応すべき?

子どもがいじめ動画によるトラブルの当事者になってしまったら、本人の気持ちに寄り添いながら解決を目指しましょう。解決に当たっては、弁護士などの窓口へ早期に相談することをおすすめします。

  1. (1)【被害者】心のケア・証拠の保存・損害賠償請求

    子どもがいじめの被害を受け、さらに動画が拡散された場合、本人の精神的ダメージは計り知れません。
    保護者の方は、子どもに寄り添いながら以下の対応を進めていきましょう。

    ・心のケア
    「なぜ早くいわなかったのか」などの批判や「気にするな」などの助言はせず、まずは子どもの気持ちをそのまま受け止め、安心して話せる環境づくりを優先します。家族だけで対応が難しい場合は、スクールカウンセラーや精神科医に相談しましょう。

    ・証拠の保存
    投稿内容はいつ削除されるかわかりません。心のケアと並行し投稿動画のスクリーンショットや画面録画など、いじめの証拠の保存も行います。
    また、投稿された動画や投稿者のアカウント名・プロフィール情報も保存し、SNS運営者等に対して、書き込みを行った人の情報開示を依頼する「発信者情報開示請求」を行うことも検討しましょう。

    ・損害賠償請求
    いじめ加害者や動画の投稿者に対し、不法行為や精神的苦痛に対する損害賠償請求をできる可能性があります。証拠収集や、相手方との交渉はもちろん、発信者情報開示請求も弁護士に任せるのが得策です。早い段階の相談で、法的手続きや精神的負担を軽減することができるでしょう。
  2. (2)【加害者】真摯な謝罪・損害賠償への対応

    わが子が他の児童・生徒をいじめている動画が拡散された場合、子どもがSNS上で激しいバッシングを受け、学校で孤立する可能性があります。
    「あなたが悪い」と突き放さず、子どもとともに被害者への誠実な対応を行っていきましょう。

    ・被害者への真摯な謝罪
    いじめの被害者や家族に対しては真摯かつ速やかな謝罪をしましょう。謝罪が遅れたり、言い訳をしたりすると、トラブルが深刻化するおそれがあります。

    ・示談・損害賠償請求への対応
    被害者から損害賠償を請求された場合は、弁護士を間に入れて示談交渉を行うことが有効です。示談とは裁判をせずに、当事者間の話し合い(交渉)で解決する手続きです。弁護士のサポートを受けながら、できる限り穏便な解決を目指しましょう。
  3. (3)【動画を投稿・拡散した人】動画の削除等・損害賠償への対応

    子どもがいじめ動画を投稿・拡散したことが分かったら、まずは落ち着いて状況を把握し、速やかに対応しましょう。

    ・動画の削除、再投稿(リポスト)の解除
    速やかに投稿の削除・再投稿の解除を行うことをおすすめします。拡散が続くほど、被害が広がり、損害賠償額が膨らむおそれがあります。
    なお、削除しても拡散が止まらない、証拠としていじめの当事者に保存されている、といった可能性もあり得ます。削除で完全に責任を免れるわけではないことを理解しておきましょう。

    ・損害賠償請求の可能性
    前述の通り、再投稿であっても動画拡散による被害者(動画で撮影されたいじめ加害者・被害者など)から損害賠償請求をされる可能性があります。被害者から連絡があり、法的手続きに発展する場合は早期に弁護士に相談しましょう。
  4. (4)いじめ動画トラブルに関する主な相談先

    いじめ動画に関するトラブルの相談先としては、次の例が挙げられます。

    • 学校
    • 自治体のいじめ相談窓口(教育委員会など)
    • 警察
    • 弁護士

    まずは学校や自治体の窓口、警察に相談して対応を求めましょう。
    しかし、十分な対応を行ってもらえないケースもあります。その場合は、早い段階で弁護士にご相談ください。

4、いじめ動画トラブルについて、弁護士ができるサポート

いじめ動画に関するトラブルを解決するため、弁護士は主に次のサポートを行っています。

【いじめに関するサポート】
① 学校側とのやり取り
事実関係の調査、子どもに対する精神的ケア、加害者と被害者の隔離、いじめの再発防止などについて、必要な措置をとるよう学校側に対して求めます。
また、不当な退学処分が下された場合には、処分の撤回を求めて学校側と交渉します。

② 相手方とのやり取り・交渉
いじめの解決に向けて、「いじめ被害者とその保護者」「いじめ加害者とその保護者」との間でやり取りや交渉が発生する場合があります。弁護士が代理人となりサポートすることで、交渉時の精神的な負担を大幅に軽減することができます。

③ 損害賠償請求
いじめにより、被害者にケガやPTSD、不登校、転校などの損害が発生している場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることが可能です。
もしも学校側の対応に落ち度があった場合には、学校の運営者(国公立の場合は国や地方自治体、私立の場合は学校法人など)にも損害賠償請求を行えます。
弁護士は、被害者が受けた損害に応じて損害賠償額を算出して相手方に交渉することが可能です。
また、損害賠償請求をされた加害者は、弁護士がその金額の妥当性を調査し、不当に高額であれば減額交渉をしたり、支払う必要がないケースでは法的根拠に基づいて拒否したりなどの対応を行うことができます。

④ 刑事告訴
いじめの内容によっては、暴行罪、傷害罪、強要罪、恐喝罪などの犯罪に該当する場合があります。
被害者弁護の場合には、弁護士は告訴状の作成・提出、証拠収集、警察との交渉など、告訴が受理されやすいようサポートします。
加害者弁護の場合には、弁護士は取り調べの際の対応についてのアドバイスや被害者との示談交渉の代行などを担います。なお、加害者が14歳未満の場合には、逮捕には至らず児童相談所へ送致され、家庭裁判所にて少年審判を受けることになります。

⑤ 訴訟対応
示談でいじめの解決に至らない場合には、訴訟に発展する場合があります。裁判に関する手続きは高い法律知識が必要とされます。弁護士に依頼すれば、煩雑な裁判手続きを一任でき、保護者の方が対応する労力やストレスを大幅に軽減できるほか、早期解決に至る可能性が高くなります。

【いじめ動画に関するサポート】
① いじめ動画の削除請求
いじめ動画の投稿者や、投稿先SNSの運営者に対して、速やかに動画を削除するよう請求します。

② 投稿者の特定
プロバイダーへの発信者情報開示請求などを通じて、いじめ動画の投稿者を特定します。

③ 損害賠償請求
いじめ動画の拡散により損害を被ったいじめ被害者・加害者は、動画の投稿者・拡散者に対して損害賠償を請求することが可能です。
一方、いじめ動画の投稿者・拡散者は、拡散により被害を受けた児童・生徒から損害賠償請求を受けた際に、その要求が正当であれば損害賠償金の支払いに応じる必要があります。
弁護士は、生じた損害に応じて適正な損害賠償金を算出したり、支払いについての交渉を行ったりするなどのサポートをすることが可能です。

④ 刑事告訴
いじめ動画の拡散より損害が生じた場合、名誉棄損罪や侮辱罪にあたるとして刑事告訴をすることができる場合があります。弁護士は証拠収集のサポートや告訴状の作成代行などのサポートを行うことが可能です。

いじめ動画に関するトラブルは、当事者が自力で解決するには規模が大きくなる可能性があります。学校側に対応を求めても、適切に対応してもらえるとは限りません。

早急にトラブルを解決するためには、弁護士のサポートが役立ちます。子どもがいじめ動画に関するトラブルの当事者になってしまったら、ベリーベスト法律事務所 学校問題専門チームの弁護士へご相談ください。

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5、まとめ

暴行や侮辱などのいじめは古くから学校現場で問題視されていますが、近年ではいじめの場面を撮影した動画を拡散する行為も大きな問題となっています。

いじめ動画を投稿・拡散する動機としては、「バズりたい」「いじめの被害をたくさんの人に知ってほしい」などさまざまなパターンがあります。
しかしどのような動機であっても、いじめ動画を投稿・拡散すれば深刻なトラブルを招き、法的な責任を負う可能性があります。

もし子どもがいじめ動画の投稿や拡散を行っていたことが判明したら、速やかに動画の削除や再投稿の解除などを行わせましょう。
また、いじめの加害者・被害者を含めて、子どもがいじめ動画に関するトラブルの当事者になってしまったら、弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は学校問題専門チームを設け、学校生活におけるトラブルの解決に取り組んでおります。インターネット上での違法投稿の削除請求を専門的に取り扱うチームとも連携し、いじめ動画に関するトラブルの早期解決をサポートいたします。
ぜひお早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修者
米澤 弘文

ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士  米澤 弘文

所属:東京弁護士会  登録番号:53503

学校問題専門チームのリーダーとして、いじめや退学、事故など、学校・保育園・幼稚園等の管理下で発生する問題に幅広く対応。
東京弁護士会「子どもの人権110番」では長年にわたり相談業務に従事しているほか、ラジオやWEBメディアを通じて学校トラブルに関する情報発信にも力を注ぐ。

  • ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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