退学・停学の弁護士コラム

高校から退学処分といわれたら? 違法の可能性があるケースと解決事例

  • 退学・停学
更新日:2026年07月15日 公開日:2026年07月15日
高校から退学処分といわれたら? 違法の可能性があるケースと解決事例

学校から退学を言い渡されたり、自主退学を勧められたりした場合、必ずしもその処分や措置が正しいとは限りません。

十分な聞き取りが行われていなかったり、処分が重すぎたり、他の生徒との公平性に問題があったりするケースでは、退学処分の違法性が争われることもあります。

一度退学届を提出してしまうと、後から覆すのが難しくなる場合もあります。まずは保護者として、子どもへの状況確認や学校への事実確認を行い、必要に応じて弁護士と連携し、正しい対応を進めていきましょう。


1、高校における退学の現状

「退学」と一言でいっても、「退学処分」なのか、学校側から自主退学を勧められている「(自主)退学勧告」なのかで意味は大きく変わります。対応を誤ると、後悔することになりかねません。

ここでは、高校の退学の種類と近年の中退の傾向について確認しておきましょう。

  1. (1)高校の退学処分│退学処分・自主退学・退学勧告

    高校で「退学」といわれた場合、以下の3つが考えられます。

    ① 退学処分
    懲戒処分としての退学処分とは、法令に基づき、校長が正式な処分として生徒を退学させる処分です(学校教育法施行規則第26条第2項)。生徒側の意思にかかわらず、強制的に退学になるのが特徴です。

    ② 自主退学
    自主退学とは、生徒本人の意思で退学をすることをいいます。退学するかどうかは、生徒側が自由に決めることができます。

    ③(自主)退学勧告
    (自主)退学勧告とは、学校側が生徒に対して、自主的な退学を促す働きかけです。懲戒処分としての退学処分のような強制力はなく、退学するかどうかは、生徒側の判断に委ねられています

    学校から「退学」といわれた場合、すぐに結論を出すのではなく、まずは上記のうちどれにあたるのかを確認するようにしましょう。

    なお、退学処分の種類と定義について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

  2. (2)高校中退者は令和3年度から増加傾向

    高校の中途退学者数は、令和2年度のコロナ禍で一時期減少していましたが、国公立、私立ともに近年は増加傾向にあります。

    【高等学校中途退学者数の推移】

    国立 公立 私立
    平成27年度 44人 3万1083人 1万8136人 4万9263人
    平成28年度 43人 2万9531人 1万7675人 4万7249人
    平成29年度 51人 2万8929人 1万7822人 4万6802人
    平成30年度 42人 2万8513人 2万39人 4万8594人
    令和元年度 44人 2万5038人 1万7800人 4万2882人
    令和2年度 51人 2万283人 1万4631人 3万4965人
    令和3年度 54人 2万607人 1万8267人 3万8928人
    令和4年度 64人 2万2631人 2万706人 4万3401人
    令和5年度 82人 2万4349人 2万1807人 4万6238人
    令和6年度 54人 2万3468人 2万1049人 4万4571人

    参考:「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(文部科学省)

    また、中退理由を見ると、「学校生活・学業不適応」や「進路変更」が大きな割合を占めています。一方で、「問題行動等」を理由とする退学も一定数あります。

    【事由別中途退学者数の構成比の推移】

    学業不振 学生生活・学業不適応 進路変更 病気・けが・死亡 経済的理由 家庭の事情 問題行動等 その他
    平成27年度 7.8% 34.1% 34.3% 4.2% 2.8% 4.5% 4.1% 8.2%
    平成28年度 7.9% 33.6% 33.8% 4.5% 2.6% 4.4% 3.9% 9.4%
    平成29年度 7.6% 34.9% 34.7% 4.3% 1.8% 4.2% 3.9% 8.6%
    平成30年度 7.8% 34.2% 35.3% 4.3% 2.0% 4.2% 3.8% 8.4%
    令和元年度 6.8% 36.6% 35.5% 4.7% 1.8% 4.2% 3.8% 6.7%
    令和2年度 5.8% 30.5% 43.1% 4.7% 1.5% 4.0% 2.8% 7.5%
    令和3年度 6.6% 30.5% 44.2% 4.9% 1.4% 3.8% 2.5% 6.2%
    令和4年度 6.0% 32.8% 43.9% 4.9% 1.4% 3.3% 2.8% 5.0%
    令和5年度 6.8% 34.2% 41.3% 4.3% 1.2% 2.9% 3.3% 6.1%
    令和6年度 6.3% 35.0% 41.5% 4.0% 1.2% 2.9% 3.4% 5.6%

    参考:「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(文部科学省)

    「問題行動等」は文部科学省の調査における区分のひとつです。進路変更や学業不振には含まれない、学校の秩序を乱す「いじめ」や「非行行為」などが含まれます。

    なお、問題行動があったからといって、必ず退学になるわけではありません
    本当にその事実があったのか、処分の重さは適切か、他の生徒との公平性は保たれているか、などを確認する必要があります。

2、高校退学となる理由は?

高校退学となる理由には、学業不振や人間関係、進路変更、家庭の事情など、その背景にはさまざまなものがあります。

ここでは、高校退学につながりやすい主な理由を紹介します。

主な退学理由 具体例
学生生活・学業不適応 留年、不登校、人間関係の悩み
進路変更 別の高校への入学、就職希望
経済的理由 家計の悪化、家庭環境の変化
問題行動等 万引き、飲酒、喫煙、いじめ、暴力など

  1. (1)学生生活・学業不適応│留年や人間関係のつまずきによる退学は横ばい

    高校では、出席日数や成績が一定基準を満たせないと、進級が難しくなることがあります。留年をきっかけに学校へ通いづらくなり、そのまま退学に至るケースも少なくありません。

    また、友人関係のトラブルや部活動での悩み、教師との相性など、学校生活への不適応が背景にあることもあります。大人の目線からでは単に「やる気がなくなった」ように見える場合でも、子ども自身は実際には強いストレスを抱えているかもしれません。

    子どもと話し合い、必要に応じて別室登校や転校、通信制高校への転籍など、よりよい選択肢を検討していくことが大切です。

  2. (2)進路変更│通信制・サポート校等、選択肢の広がりにより増加

    本人の希望で高校を辞めるケースもあります。
    たとえば、「今の学校が合わないので別の高校へ移りたい」「早く働きたい」と考え、退学を選ぶ場合です。

    最近は、通信制高校や定時制高校など、学び方の選択肢が増えています。通信制高校に通う生徒は令和7年度に初めて30万人を超え、過去最多となりました。全日制の高校を退学した生徒が環境を変えたことで、再び前向きに学べるようになるケースも少なくありません。

    また、就職や資格取得を目指して、高校卒業前に社会へ出る生徒もいます。このように前向きな理由で退学するケースもあります。

  3. (3)経済的理由・家庭の事情│全体の割合からは減少傾向

    以前は、家計の事情を理由に高校を辞めるケースが多く見られました。
    しかし近年は、高等学校等就学支援金制度(いわゆる高校無償化)の拡充もあり、経済的理由による退学は減少傾向にあります。

  4. (4)問題行動等│窃盗(万引き)・飲酒・いじめ加害等、直近は横ばい~微増

    以下のような問題行動が発覚した場合、学校側から退学を言い渡されることがあります。


    問題行動 具体例
    窃盗(万引き) コンビニや店舗での商品窃盗、学校内での金品トラブル
    飲酒・喫煙 校内外での飲酒、未成年喫煙
    いじめ加害 暴言、仲間外れ、暴力、SNSでの誹謗中傷
    暴力行為 生徒同士のケンカ、教師への暴力
    SNSトラブル 無断撮影、画像拡散、誹謗中傷
    薬物 大麻や覚醒剤の所持、使用

    もっとも、こうした行為があったからといって、すぐ退学になるとは限りません。

    一般的には、

    • ① 問題行動の調査
    • ② 特別指導、自宅謹慎
    • ③ 学校内で処分の検討
    • ④ 退学処分(または自主退学勧告)

    という流れをたどります。

    退学処分は、子どもの進学など将来の進路選択にも影響が及ぶ重い判断です。そのため、学校側には、事実関係を十分に確認し、本人の言い分も踏まえたうえで慎重に判断することが求められます。

    たとえば、「証拠が十分ではない」「処分が重すぎる」「本人に釈明の機会が与えられなかった」といったケースでは、退学処分の妥当性が問題になることもあります。

    そのような場合、早い段階で弁護士が学校との話し合いに入ることで、退学の回避や停学など別の処分で落ち着く可能性もあります。「もう退学するしかない」と決めつけず、早めに弁護士に相談するようにしましょう。まずは状況を整理することが大切です。

    なお、退学・停学処分になる基準について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

3、高校の退学処分が違法の可能性があるケース

学校から退学処分を言い渡されたとしても、「退学処分は重すぎる」「学校側の調査が不十分だった」として、処分が違法・無効と判断されたケースもあります。

ここでは、高校の退学処分が違法となる可能性のある代表的な3つのケースを紹介します。

  1. (1)ケース1│段階的な指導がなく、突然退学といわれた

    本来、退学処分は最後の手段です。そのため、多くの学校では、注意指導や特別指導、停学などを経たうえで、改善が見られない場合に退学が検討されます。

    それにもかかわらず、十分な指導や話し合いもないまま、突然「退学してください」といわれるケースがあります。
    段階的な指導をほとんど行わずに退学とする対応は、処分の妥当性が問題になる可能性があります。

  2. (2)ケース2│事実認識の誤りがある、証拠が不十分

    退学処分の前提となる事実認識が誤っているケースもあります。

    たとえば、SNSトラブルで無関係にもかかわらず投稿者だと決めつけられた、いじめの加害者とされたが実際の関与は限定的だった、といったケースです。学校は、本人や関係者への聞き取り、防犯カメラ、LINE履歴などをもとに事実確認を進めます。

    しかし、限られた情報だけで判断し、十分な確認が行われないこともあります。その結果、誤った事実に基づいて、退学処分が言い渡されてしまうのです。

    このようなケースでは、証拠に基づき事実誤認を主張していけば、退学処分の無効が認められる可能性があります。

  3. (3)ケース3│行為に対して処分が重すぎる、生徒により処分にバラつきがある

    問題行動があったとしても、処分内容が適切とは限りません。

    たとえば、一度の飲酒や軽微なトラブルにもかかわらず退学を求められたり、同じ行為をした他の生徒は停学なのに、一人だけ退学を言い渡されたりするケースです。
    退学処分では、行為の悪質性、反省状況、過去の指導歴、他の生徒との公平性なども重要な判断要素になります。

    「問題行動があったから仕方ない……」と諦めるのではなく、それに見合った処分であるかをしっかりと検討することが大切です。

    なお、校則違反による退学処分が違法・無効となった裁判例について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

    あわせて読みたい

    校則違反による退学処分が違法・無効となった裁判例
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4、高校から退学処分とされたときの「対策」と弁護士による「解決事例」

高校から退学処分とされそうな状況でも、適切な行動をとることによって、退学を回避できる可能性もあります。

ここでは、退学を回避するために保護者ができる対策と、弁護士が介入することで実際に処分内容が変わった当事務所の解決事例を紹介します。

  1. (1)まずは子どもへの状況確認

    退学を示唆されたとき、最初に確認したいのが子ども本人の話です。
    学校側の説明だけを前提に話を進めると、事実関係にズレが生じてしまうことがあります。

    「どのような問題があったのか」「本当に本人が関与していたのか」「学校から何といわれたのか」などについて、落ち着いて確認しましょう。

    このとき、「なぜそんなことをしたの」と責める姿勢は逆効果です。冷静に話し合うのが難しいようであれば、早い段階で弁護士を交えて経緯を整理することをおすすめします。

  2. (2)学校へ根拠提示、話し合い等

    子どもから事情を聞いた後は、学校側の説明や処分理由を確認しましょう。

    たとえば、次のような点は確認しておきたいポイントです。

    【「退学」といわれたら学校に確認すべきポイント】
    • 問題行動として認定されている内容
    • 学校が把握している証拠や事実関係
    • これまでの指導経過
    • 停学など他の処分の可能性
    • 今後の手続きの流れ

    なお、退学問題では、弁護士が早い段階で関与するほど、柔軟な対応がとりやすい傾向があります。

    すでに退学となったケースでは、裁判所へ仮処分の申し立てを行ったり、場合によっては訴訟に発展したりするケースもありますが、初期段階であれば学校との交渉により停学などより軽い処分に変更されるだけで済む場合もあるためです。そのため、学校との話し合いをする前に一度弁護士に相談しておくとよいでしょう。

  3. (3)弁護士への相談

    学校との話し合いを進める中で、「このまま保護者だけで対応してよいのだろうか」と不安になる方もいるでしょう。

    そのような不安を感じたときはすぐに弁護士に相談してください。

    弁護士に相談するメリットは以下の通りです。

    【退学について弁護士に相談する4つのメリット】
    • 退学理由や学校側の対応に問題がないか確認する
    • 校則や過去の指導経緯を踏まえ、処分の妥当性を検討する
    • 本人の反省状況や事情を整理し、学校へ適切に伝える
    • 今後の進路や学校との向き合い方を一緒に考える

    また、保護者が学校との話し合いで感情的になってしまう場面でも、第三者が入ることで冷静に進めやすくなることがあります。

    「本当に退学するしかないのか」「学校の対応に納得できない」と感じた段階で、一度相談してみることをおすすめします。

  4. (4)【解決事例】退学処分予定が取り消された事例

    50代女性のご依頼者さまは、高校生のお子さまが学校内の友人トラブルをきっかけに、学校から退学処分を検討されているとして相談されました。

    学校側は、お子さまが所属するグループにいじめにあたる行為があったと判断し、自宅待機を指示しました。しかし、お子さまが指示に従わなかったことから、学校側から「退学処分の検討」が告げられました。

    ベリーベスト法律事務所の弁護士は、退学処分が将来への影響が大きく法的観点から慎重な判断が求められる処分であることを指摘し、退学処分の再考を求める内容証明郵便を学校側へ送付しました。その結果、学校側は処分を見直し、退学処分予定は撤回され、お子さまの復学が認められました

  5. (5)【解決事例】自主退学勧告を停学で収めることができた事例

    50代男性のご依頼者さまは、高校生のご子息が生徒間トラブルで暴力事件を起こし、相手にけがを負わせたことをきっかけに、学校から自主退学を強く勧められているとして、ベリーベスト法律事務所に相談されました。

    学校側は、暴力行為を理由に退学を前提とした対応を進めていました。しかし、ご子息は事件後に反省を続けており、改善の余地がある状況でした。また、過去の裁判例を踏まえても、一度の問題行動のみで退学は重すぎるといえる状況でした。

    そこで、弁護士は、学校へ「自主退学の意思はない」と明確に伝え、弁護士名義で受任通知を送付しました。

    その後、学校側との話し合いを重ねた結果、自主退学や退学処分は回避され、停学3か月の処分で解決しました。停学を受け入れても留年には至らず、ご子息は高校へ通い続けられることになりました。

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5、まとめ

高校から突然「退学」といわれると、保護者としては大きな不安を感じるでしょう。しかし、学校が退学を示唆したからといって、必ずその処分が正しいとは限りません。

退学は、生徒の学ぶ機会や将来の進路選択に大きな影響を与える重大な処分です。そのため、学校側には十分な事実確認や慎重な判断が求められます。場合によっては、処分が重すぎる、手続きに問題があるとして争えるケースもあります。

ベリーベスト法律事務所の学校問題専門チームでは、退学処分や自主退学勧告に関するご相談を承っています。お子さまの将来を守るためにも、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
米澤 弘文

ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士  米澤 弘文

所属:東京弁護士会  登録番号:53503

学校問題専門チームのリーダーとして、いじめや退学、事故など、学校・保育園・幼稚園等の管理下で発生する問題に幅広く対応。
東京弁護士会「子どもの人権110番」では長年にわたり相談業務に従事しているほか、ラジオやWEBメディアを通じて学校トラブルに関する情報発信にも力を注ぐ。

  • ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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