子どもがスクールバスで通園・通学していて、スクールバス側の落ち度により事故が発生してしまった場合、主に学校側、スクールバスの委託業者、スクールバスの運転手に対して、民事および刑事上の責任を追及できる可能性があります。
スクールバスでの事故で、学校などへの責任追及を検討する場合、まずは弁護士にご相談ください。
今回は、スクールバス事故が発生したときの責任の所在や請求できる損害、弁護士がサポートできることなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
スクールバス事故が発生した場合、被害を受けた子どもの保護者は、誰に対して責任を追及することができるのでしょうか。
本コラムでは、スクールバス側に責任がある事故(事故相手側の過失が原因で発生する事故を除く)における責任の所在などについて説明します。
スクールバス事故が発生した場合、以下のような主体が責任を負うことになります。
① スクールバス運転手
スクールバスで事故が発生した場合、スクールバスの運転手は、事故を起こした当事者ですので、不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法709条)。
しかし、運転手個人では、十分な資力がないため、後述するような事業者や学校側の責任追及を検討していくことになります。
② スクールバスの委託業者
学校がスクールバスの運行を外部の事業者に委託している場合には、スクールバスの委託業者に対して責任追及できる可能性があります。
スクールバスの委託業者は、運転手を雇用している立場ですので、スクールバス運転手が業務中に第三者に損害を与えた場合は、使用者責任に基づいて損害賠償責任を負います(民法715条1項)。
なお、使用者責任には、免責規定がありますが、使用者責任の免責が認められたケースはほとんどありません。
③ 学校側
学校側がスクールバスの運行管理をしている場合、学校側に対して責任追及できる可能性があります。
学校側には、児童・生徒の安全と健康を確保するために必要な配慮をする義務(安全配慮義務)が課されています。
スクールバスの運行・管理に落ち度があり、それにより事故が発生したような場合には、安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求を行うことができる場合があります。また、指揮監督の状況によっては、使用者責任に基づいて損害賠償請求を行うことができる場合もあります(民法715条1項)。
前述の通り、スクールバスでの事故により子どもが怪我を負った場合、損害賠償請求という民事上の責任追及を行うことができます。
また、事故で子どもが死傷した場合には、刑事責任を追及できる可能性もあります。具体的には、過失運転致死傷罪や業務上過失致死罪などが考えられます。これらの刑事責任は、スクールバス事故を起こした運転手だけではなく、委託業者や学校側に対しても追及できる可能性があります。
スクールバスで子どもが事故に遭った場合、以下のような損害を請求することができます。
請求できる主な損害項目としては、以下のようなものが挙げられます。
① 治療費
事故により子どもが怪我をしたときは、治療のために病院へ通院することになります。その際に発生した治療費については、必要かつ相当な範囲の実費相当額を請求することが可能です。
② 入通院付添費用
子どもが入院または通院をすることになった場合、子どもの年齢や怪我の程度によっては、保護者の付き添いが必要になるケースもあるでしょう。そのような場合には、入通院付添費用という損害を請求することができます。
③ 休業損害
子どもの通院や入院に付き添うために保護者が仕事を休んだ場合、減収分の損害を「休業損害」として請求することができます。
④ 慰謝料
スクールバスの事故に巻き込まれた被害者には精神的苦痛が生じますので、以下のような慰謝料を請求することができます。
⑤ 逸失利益
逸失利益とは、事故により本来得られたはずの利益が失われたことによる損害をいいます。
逸失利益には、事故により後遺症が生じたときの後遺障害逸失利益と事故で被害者が死亡したときの死亡逸失利益の2種類があります。
日本スポーツ振興センターの災害共済給付金とは、学校の管理下における児童・生徒の負傷、疾病、障害、死亡などの災害に対して治療費や見舞金が給付される制度です。
通園・通学中のスクールバス事故は、学校管理下の事故にあたりますので、損害賠償請求のほかに、日本スポーツ振興センターの災害共済給付金を請求することができます。
ただし、損害賠償請求との二重取りはできないため、災害共済給付金を受給した場合には、受給した金額が損害賠償額から控除される部分もあります。
スクールバスでの事故が起きた場合、以下のような流れで責任追及を行います。
スクールバスでの事故により子どもが怪我をしたときは、すぐに病院を受診して、治療を行うようにしてください。
事故後、すぐに病院に行っていないと後から何らかの症状があらわれたとしても、治療費を支払ってもらえないリスクがあります。そのため、多少の怪我であってもすぐに病院を受診することが大切です。
スクールバスでの事故が起きた場合、その後の責任追及に備えて、事故の事実確認や調査を行います。学校側やスクールバス委託業者などへの損害賠償請求にあたっては、事故の責任を立証するための証拠が不可欠になります。そのため、学校側や委託業者、警察などに働きかけて、しっかりと調査を行ってもらうようにしましょう。
事故について学校側や委託業者に法的責任がある場合には、学校側や委託業者に対して、損害賠償などに関する交渉を行います。交渉がまとまれば合意書を作成して、賠償金の支払いをしてもらうことになりますが、交渉が決裂した場合は、訴訟提起の検討が必要になります。
交渉がうまくいかないときは、そのまま交渉を続けていても進展は望めませんので、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。
訴訟では、証拠に基づいて学校側などの法的責任の有無や損害額などが判断されますので、十分な証拠により立証できれば、学校側などへの賠償金の支払いが命じられます。
子どもが通園・通学におけるスクールバスで事故に遭ったときは、すぐに弁護士に相談しましょう。
スクールバスでの事故が発生したときは、どこに責任の所在があるかを判断するためにも事故原因の調査究明が重要になります。学校側やスクールバス委託事業者、警察が積極的に調査を行わないような場合は、被害者側から働きかけていく必要があります。
しかし、保護者が対応していくには負担も大きく、また相手側が十分に対応してくれるとは限りません。弁護士から学校側や委託業者、警察に対して、調査を働きかけていくことで、適切に対応してもらえる可能性が高くなるでしょう。
損害賠償請求をするには、まずは相手方との交渉を行い、交渉が決裂した場合は、裁判所への訴訟提起が必要になります。
弁護士に依頼すれば、交渉や訴訟の対応をすべてまかせることができますので、保護者の方の負担を大幅に軽減することができます。また、弁護士が窓口となって交渉することで相手側も真摯(しんし)に対応せざるを得なくなりますので、交渉により解決できる可能性も高まります。
スクールバスでの事故による損害賠償請求をするには、学校側やスクールバス委託事業者に法的責任があることを証拠により立証していかなければなりません。また、損害の発生およびその額についても法的根拠に基づいて請求する必要があります。弁護士であれば証拠を収集・整理したうえで、法的根拠に基づいて損害賠償請求を行うことが可能です。
参考
学校での問題・トラブルの
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スクールバスでの事故について、運転手、委託業者、学校側の責任を追及していくためには、過失を証明しなければなりません。過失を証明・主張していくには、法的知識や経験が不可欠となりますので、弁護士に相談をしながら対応をしていくことが重要です。
子どもがスクールバスでの事故に遭い、損害賠償請求などを検討する場合はベリーベスト法律事務所までご相談ください。
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