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インターナショナルスクールでのいじめや事故|トラブル対処法を弁護士が解説

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2025年02月26日
インターナショナルスクールでのいじめや事故|トラブル対処法を弁護士が解説

インターナショナルスクールでも、公立や私立学校と同様に、さまざまな種類のトラブルが発生しています。いじめ、事故、不当な退学・停学処分など、トラブルの種類はさまざまです。

インターナショナルスクールでトラブルに巻き込まれた子どもやその保護者は、学校の運営者や加害者に対して損害賠償などを請求できる可能性があります。弁護士のサポートを受けながら、トラブルによる被害の回復を目指しましょう。

本記事では、インターナショナルスクールにおけるトラブルへの対応について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。


1、インターナショナルスクールと一般の公立・私立学校の違い

インターナショナルスクールは、学校教育法第1条に規定する学校(一条校)として認められている一部の学校を除き、学校教育法第134条に規定する各種学校、もしくは無認可の学校という扱いになります。
一条校ではない多くのインターナショナルスクールでは、一般の公立学校や私立学校と比べて、主に以下のようなさまざまな違いがあります。

① 学校教育法に基づいて設立されているかどうか
一般の公立学校や私立学校は、学校教育法という法律に基づいて設立されています。
これに対して、無認可のインターナショナルスクールは設立に当たって準拠している日本の法律がありません。

② 学習指導要領に従っているかどうか
一般の公立学校や私立学校では、学習指導要領に従った教育が行われています。
これに対して一条校を除くインターナショナルスクールでは、学習指導要領に準拠することなく、独自の教育(英語教育や日本語教育を含む)を行うのが一般的です。

③ 日本の義務教育を受けたことになるか
一般の公立・私立の小学校や中学校を卒業すれば、日本の義務教育を受けたことになります。
これに対して、一条校以外のインターナショナルスクールは、卒業しても日本の義務教育を受けたことにはなりません。

④ 教育委員会や各都道府県知事に管轄権限があるか
一般の公立学校については教育委員会が、私立学校については各都道府県知事が所管しています。一方、無認可のインターナショナルスクールについては教育委員会や各都道府県知事に管轄権限はありません。

このように、多くのインターナショナルスクールには、日本における一般的な学校とは異なる特徴があります。そのため、いじめや事故などのトラブルが起きた際にも、学校ごとに異なる規律や個別の状況に合わせて対応しなければなりません

2、インターナショナルスクールにおけるいじめ問題への対応

インターナショナルスクールでも、一般的な学校と同様に、いじめがしばしば発生しています。ご自身の子どもがいじめの被害者になってしまった場合、および加害者として他の子どもをいじめていたことが分かった場合の対応について解説します。

  1. (1)いじめ被害を受けた場合の対応の流れ

    インターナショナルスクールにおいて、子どもがいじめの被害を受けた場合には、以下の流れで対応しましょう。

    ① 学校側(スクール側)に相談する
    学校側にいじめの被害を申告し、事実関係の確認などを求めます。

    ② いじめの証拠を確保する
    子どもが加害者とやり取りしたメッセージ、加害者に壊されたり汚されたりした物、いじめにより子どもが怪我や病気に至った場合は医師の診断書、学校によるいじめ調査の結果など、いじめが行われたことを立証し得る証拠を確保します。

    ③ 学校側および加害者側との話し合い
    把握できた事実関係を踏まえて、加害者側にいじめの事実を伝えるとともに、謝罪や再発防止策を求めていきます。

    ④ 損害賠償を請求する
    学校側や加害者側との示談交渉、訴訟などの裁判手続きを通じて、いじめによって被った損害の賠償を請求します。
  2. (2)学校や加害者に対して、被害者が追及できる責任の内容

    いじめの被害者は、学校の運営者や加害者に対して、以下のような損害の賠償を請求できます。

    • 怪我や病気の治療費
    • 精神的損害に対する慰謝料
    • 後遺症が生じた場合は、後遺障害慰謝料や逸失利益
    • いじめが原因で転校した場合には、転校のために要した費用
    など

    上記のほかにも、いじめとの間に社会通念上相当な因果関係があれば、損害賠償の範囲に含まれます。

    加害者本人に対しては、不法行為を根拠として損害賠償を請求可能です(民法第709条)。ただし、本人に責任能力がない場合は、親などの監督義務者に対して損害賠償を請求できます(民法第714条)。

    また学校側に対しても、安全配慮義務違反などを理由に損害賠償を請求する余地があります。弁護士のサポートを受けながら、損害賠償請求の内容や根拠を検討しましょう。

  3. (3)子どもがいじめをしていた場合の対応の流れ

    子どもがいじめの加害者であることが分かった場合は、以下の流れで解決を図りましょう。

    ① 子どもや学校側の話を聞く
    子どもや学校側の話を聞いて、いじめに関する事実関係を把握します。子どもの心情にも配慮して、精神的なケアも行いましょう。

    ② 被害者側と話し合う
    把握した事実関係を基に、被害者側と話し合って解決を図ります。
    被害者側が主張する内容のうち、事実と異なる部分があれば反論しましょう。ただし、被害者側の感情を刺激しないように配慮することも大切です。

    ③ 損害賠償を支払う
    いじめが事実であれば、損害賠償を支払って解決することも考えられます。弁護士のアドバイスを受けながら、適切な内容での和解を模索しましょう。

3、インターナショナルスクールで発生した事故や怪我への対応

インターナショナルスクールに通っていた子どもが事故に遭って怪我をした場合には、補償や損害賠償を請求しましょう。

  1. (1)事故や怪我について、被害者が受けられる補償・賠償

    インターナショナルスクールにおける事故によって子どもが怪我をした場合、学校側に対して、不法行為(民法第709条)や工作物責任(民法第717条)などに基づき損害賠償を請求できます。

    また、インターナショナルスクールが学校保険などに加入している場合は、事故の被害者は保険金によって補償を受けられることがあります。補償を申請できる保険があるかどうか、学校側に確認してみましょう。

  2. (2)事故や怪我に関するトラブル解決の流れ

    事故による子どもの怪我について補償や賠償を受けるためには、以下の流れで対応しましょう。

    ① 怪我の治療を受ける
    まずは医療機関で治療を受け、心身の回復を目指しましょう。損害賠償請求の対応を本格化させるのは、怪我の治療が完了してからになります。

    ② 保険について問い合わせる
    学校現場での事故によって生じた怪我について、保険に加入しているかどうかを学校側に問い合わせます。保険に加入している場合は、保険金請求の手続きを確認しておきましょう。

    ③ 学校側に調査を求める
    事故が発生した原因などについて、学校側に調査を求めます。調査の内容が不十分と思われる場合は、弁護士を通じて学校側に再調査を働きかけましょう。

    ④ 損害賠償請求の準備をする
    医師の診断書や支払った費用の領収書などをそろえて、損害賠償請求の準備を整えます。

    ⑤ 損害賠償請求を行う
    学校の運営者もしくは加害者、または保険会社を相手に、示談交渉や訴訟などを通じて損害賠償を請求します。

4、インターナショナルスクールにおける不当な退学・停学処分への対応

インターナショナルスクール側の不合理な判断によって、理不尽に退学処分や停学処分を受けてしまうケースもあります。不当な退学処分や停学処分を受けた場合には、復学や損害賠償を求めることができます。

  1. (1)退学・停学処分が違法となるケース

    インターナショナルスクールでは、退学や停学について独自の基準を設けています。
    一般の公立学校などとは異なり、法令では基準が定められていないため、学校によって基準が異なります。

    特に退学や停学の基準が厳しすぎる場合は、その基準に基づいて行われた処分は違法と判断される可能性があります。
    一例として、以下のようなケースに該当する場合は、退学処分や停学処分が違法になり得ます。

    • 学校側が事前の注意や指導をほとんど行わなかった場合
    • 児童生徒側の行為がそれほど悪質ではなく、退学処分が重すぎる場合
    • 退学処分の理由とされる内容について、学校側に誤認がある場合
    など

    特に退学処分が違法である場合は、仮に復学しない場合には、慰謝料等の請求をすることも考えられます。

  2. (2)復学や損害賠償を求める方法

    不当な退学処分や停学処分に対して反論し、復学や損害賠償を求めるためには、以下の方法などが想定されます。

    ① 学校側との交渉
    学校側と話し合い、処分の撤回を求めます。交渉がまとまれば、早期に復学することができます。

    ② 仮処分の申し立て
    裁判所に対して、暫定的に復学させることを命ずる仮処分を求めます。
    退学処分や停学処分が違法であることや、その処分によって著しい損害が生じるおそれがあることの疎明(裁判で争う事項について、証拠等によって一応確からしいとの推測を裁判官に生じさせること)が必要です。

    ③ 訴訟
    裁判所に対して、復学や損害賠償を命ずる判決を求める訴訟を提起します。勝訴判決が確定すれば、復学や損害賠償を得られることが確定します。

5、インターナショナルスクールでのトラブルは弁護士に相談を

インターナショナルスクールで、いじめや事故、不当な退学・停学処分など、子どもがトラブルに巻き込まれた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は以下に挙げるサポートなどを通じて、トラブルを適切な形で解決できるように尽力いたします。

  1. (1)トラブルの証拠を確保するためのアドバイスを受けられる

    損害賠償請求などに備えて、トラブルに関する証拠を確保するための方法をアドバイスします。どのようなものが証拠になるかは、トラブルの内容や状況などによって異なるため、弁護士のサポートのもと、証拠の確保を行いましょう。

  2. (2)学校側や相手方との交渉を任せられる

    学校側や相手方に対して、法的な根拠に基づく主張を行って交渉し、迅速かつ適正な条件での解決を目指します。弁護士に依頼することにより、保護者の方に生じる労力やストレスも大幅に軽減されます。

  3. (3)裁判手続きの代理を依頼できる

    専門的な仮処分や訴訟などの裁判手続きを、弁護士が全面的に代行し、トラブルの解決を目指します。法的手続きは複雑な内容のものが多いため、弁護士にご相談ください。

    弁護士にご相談いただくことは、トラブルを早期に解決するための近道です。子どもがインターナショナルでトラブルに巻き込まれてしまったら、できるだけ早い段階でご相談ください。

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6、まとめ

インターナショナルスクールでのトラブルに巻き込まれた場合は、スクールの特性に合わせた対応が必要になります。弁護士のサポートを受けながら、適正な条件でのトラブル解決を目指しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、学校におけるトラブルに関するご相談を受け付けております。
インターナショナルスクールに通う子どもがいじめ、事故、不当な退学・停学処分などのトラブルに遭ってしまったときは、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立 2010年12月16日
連絡先 [代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-187-059
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
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  • ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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