言葉のいじめとは、悪口や冷やかし、脅し文句、嫌なことを言われる、といった行為を指します。このような言葉のいじめは、さまざまないじめ行為のなかで、もっとも多い態様です。
子どもが学校で言葉のいじめを受けていることが発覚したときには、加害者や学校側に対して謝罪や損害賠償請求などを検討していきましょう。いじめ問題は、早急に対処しなければ子どもに大きな精神的ストレスを与えることになりますので、周囲の大人がしっかりと対応することが大切です。
今回は、子どもが学校で言葉のいじめを受けたときの対応とその流れについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「言葉のいじめ」とはどのようなものを指すのでしょうか。以下では、言葉のいじめに関する基本的な考え方を説明します。
言葉のいじめとは、悪口や冷やかし、脅し文句、嫌なことを言われるなどの行為を指します。
いじめの態様のうち、「言葉」によって相手を傷つける行為が言葉のいじめです。
言葉のいじめの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
また、言葉のいじめは、加害者が冗談のつもりで言い続けることもあり、被害者に深刻な苦痛を与えていることに気づかずエスカレートするケースも多いです。
言葉によるいじめは、暴力などによるいじめとは異なり、いじめがあったことが外部から客観的にわかりにくいといえます。そのため、大人がいないところで言葉のいじめが繰り返されているケースもあり、いじめに気づくのが遅くなってしまうことも考えられます。
文部科学省が公表している「いじめの現状について」の資料では、いじめの態様別の状況がまとめられています。同資料によると、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」などの言葉のいじめがさまざまないじめの態様のなかでもっとも多く、学校ごとの割合でみると、以下のようになっています。
このように全学校で言葉によるいじめがもっとも多い態様であることから、年齢に関係なくいじめの手段として用いられていることがわかります。
参考:「いじめの現状について」(文部科学省)
言葉のいじめは、証拠がなければ解決することは難しいのでしょうか。また、言葉のいじめの証拠になり得るものとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
前提として、いじめは、被害を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じていれば、いじめにあたります。言葉によるいじめの証拠がなかったとしても、被害者を受けた児童生徒が心身の苦痛を訴えているのであれば、いじめ問題として対応していかなければなりません。
現時点で証拠が不足している場合でも、学校側の調査などによりいじめの事実が明らかになることもありますので、諦めずに被害を訴えていくようにしましょう。
言葉のいじめの証拠になり得るものとしては、以下のような動画や音声、子どもの日記、友人の証言などが有力です。ささいなものであっても証拠になる可能性がありますので、残せるものは残しておくようにしてください。
言葉のいじめがあった場合、加害者や学校側に対してどのような対応を求めることができるのでしょうか。
子どもから言葉のいじめを受けていると相談があったときは、すぐに学校に相談し、事実確認およびいじめの調査を申し入れましょう。
いじめ防止対策推進法23条2項では、学校側は、いじめ調査の申し入れがあったら速やかにいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずると定められていますので、これを根拠に調査を申し入れていくとよいでしょう。
事実確認・調査により、いじめが明らかになったときは、加害児童生徒に対して、謝罪を求めていくことが考えられます。また、いじめ問題について学校側の対応に問題があった場合は、学校側にも謝罪を求めることが考えられます。
謝罪によって被害者の心の傷が癒えるわけではありませんが、いじめをしたことをしっかりと認識してもらうためにも必要な対応といえるでしょう。
子どもが再び安心して学校生活を送れるようにするには、いじめの再発防止策を講じる必要があります。いじめ調査によって明らかになったいじめの内容や原因を踏まえて、再度、いじめが起きないような対策を学校側に求めることができます。
いじめをした加害者は、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償義務を負います。また、学校側がいじめを防止するための適切な配慮を怠ったといえる場合には、安全配慮義務違反を理由として学校側にも損害賠償を請求することが可能です。
いじめ問題の解決に向けた対応は、以下のような流れで行います。
子どもがいじめ被害を訴えているときは、まずは本人からどのようなことがあったのかを聞き取ります。その際には、子どもの主張を裏付ける証拠も一緒に集めておくと、その後の対応がスムーズです。
子どもの話から言葉のいじめを受けていることが発覚したときは、次の段階として学校側に調査の申し入れを行います。家庭内でいじめの証拠を集めるにはどうしても限界がありますので、学校側にしっかりといじめの調査をするよう求めていきましょう。
学校側の調査により言葉のいじめがあったことが明らかになったときは、加害者側や学校側と話し合いを行い、今後の対応を協議していきます。
いじめを理由とする損害賠償請求をする場合、いきなり訴訟提起をするのではなく、まずは当事者同士の話し合いにより解決を図るのが一般的です。
加害者側・学校側との話し合いは、弁護士が依頼者の代理人として対応することができます。弁護士が対応することで、ご家族の負担も軽減することにつながります。また状況などに応じて、弁護士は後方支援に徹して、ご家族と学校側とのやり取りをサポートすることも可能です。
当事者同士の示談交渉では、問題が解決しないときは、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。訴訟では、証拠に基づいていじめがあったことを主張立証していかなければなりませんので、訴訟提起前にしっかりと言葉のいじめの証拠を確保しておくことが大切です。
また、訴訟手続きは、専門的かつ複雑な手続きですので、専門的な知識がなければ対応は困難です。そのため、損害賠償請求訴訟を検討している場合は弁護士にご相談ください。
言葉のいじめは、具体的な態様によっては、名誉毀損(きそん)罪、侮辱罪、脅迫罪などの犯罪が成立することもあります。このような悪質ないじめ被害に遭ったときは、刑事告訴をすることも検討する必要があります。
弁護士なら刑事告訴のサポートも可能ですので、弁護士に相談のうえ方針を検討するとよいでしょう。
参考
学校での問題・トラブルの
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言葉のいじめは、加害者側はいじめている気がなかったとしても、被害者には深刻な苦痛を与えていることがあります。被害者が心身の苦痛を感じるのであれば、それは「いじめ」ですので、早急に対処していかなければなりません。
弁護士は、学校へのいじめ調査の働きかけや加害者・学校との交渉、証拠集めのアドバイスなど、問題の解決に向けたサポートが可能です。子どものいじめ問題に関して、適切かつ早急に対処していくためには、学校問題専門チームがあるベリーベスト法律事務所までご相談ください。
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