いじめの弁護士コラム

学校内でのいじめは警察に通報すべき? 相談すべきケースやポイント

  • いじめ
2024年10月30日
学校内でのいじめは警察に通報すべき? 相談すべきケースやポイント

いじめ行為の中には犯罪に該当するものも含まれています。もし子どもがそのような悪質ないじめを受けた場合には、警察に通報・相談することも有効な手段です。

ただし、警察が介入できるのはあくまでも犯罪行為に該当するいじめに限られますので、どのようないじめが犯罪にあたり得るかをしっかりと押さえておくことが大切です。

今回は、学校内でのいじめについて、警察に通報すべきケースや通報する際のポイントなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。


1、学校内でのいじめは警察に通報すべき?

学校内でいじめが発生した場合、警察に通報すべきなのでしょうか。以下では、いじめに関する文部科学省からの通達や警察に相談すべきいじめの例について説明します。

  1. (1)重大ないじめは直ちに警察に通報・相談することになっている

    文部科学省は、教育委員会および学校などに対して「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について」という通達を出しています。

    この通達では、「犯罪行為として取り扱われるべきいじめなどは、直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めなければならない」と記載されています。
    このように国の姿勢として、犯罪行為に該当するような重大ないじめが発覚したときは、警察へ相談・通報するよう促しています。

  2. (2)保護者から警察に連絡することも可能

    上記通達は、教育委員会や学校などに対するものですが、警察への通報は教育委員会や学校だけではなく、保護者からも行うことが可能です。子どもの命や安全を守るためにも、犯罪行為に該当するような重大ないじめ被害を受けたときは、警察への通報を検討したほうがよいでしょう。

  3. (3)警察に相談すべきいじめの例

    警察は、犯罪行為の取り締まりをする機関ですので、犯罪行為に該当するいじめは警察に相談すべきいじめといえます。以下では、警察に相談すべきいじめ(犯罪にあたるいじめ)の例を紹介します。

    ① 殴る、蹴る、たたく、髪を引っ張るなどの暴力行為|暴行罪・傷害罪
    殴る、蹴る、たたく、髪を引っ張るなどの暴力行為をすると暴行罪が成立します(刑法208条)。
    また、暴力行為により被害者が怪我をすれば傷害罪が成立します(刑法204条)。

    ②「殴るぞ」、「殺すぞ」などの脅迫行為|脅迫罪
    生命・身体・自由・名誉・財産に対し、害を加える旨告知し脅迫すると脅迫罪が成立します(刑法222条)。
    たとえば、「殴るぞ」、「殺すぞ」、「お前の秘密をばらすぞ」などと脅す行為がこれにあたります。

    ③ 無理やり嫌がることをさせる行為|強要罪
    暴行または脅迫を用いて、他人に義務のないことを行わせると強要罪が成立します(刑法223条)。
    たとえば、土下座をさせたり、裸にさせたり、お店から商品を万引きさせたりすると強要罪にあたります。

    ④ 脅して金品を巻き上げる行為|恐喝罪
    暴行または脅迫を用いて、他人に財物を交付させると恐喝罪が成立します(刑法249条)。
    たとえば、相手を脅して現金を巻き上げる「カツアゲ」は恐喝罪にあたります。

    ⑤ 財布から現金を抜き取る行為|窃盗罪
    他人の財物を摂取すると窃盗罪が成立します(刑法235条)。
    たとえば、相手が席を外しているときにこっそりと相手の財布から現金を抜き取ると窃盗罪にあたります。

    ⑥ SNSなどで誹謗中傷する行為|名誉毀損(きそん)罪・侮辱罪
    不特定または多数の人が認識できる状況で、他人の名誉を毀損した場合には、名誉毀損罪(刑法230条)または侮辱罪(刑法231条)が成立します。名誉毀損罪と侮辱罪の違いは、事実の摘示があるかどうかという点で区別されます。

    たとえば、「あいつは万引きした」「テストで0点をとった」など事実の摘示がある場合が名誉毀損罪となり、「あいつはバカだ」「うざい」「気持ち悪い」など事実の摘示を伴わない場合は侮辱罪となります。なお名誉毀損罪では、摘示した内容に関する真偽は問いません。

2、いじめを警察に相談するタイミングとポイント

上述したような警察に相談すべきいじめが行われていた場合、いつ警察に通報するのがよいのでしょうか。以下では、いじめを警察に相談するタイミングと相談する際のポイントについて説明します。

  1. (1)いじめを警察に相談するタイミング

    犯罪行為に該当するようないじめを受けていることがわかったときは、なるべく早く警察に相談するようにしてください。

    このような重大ないじめが行われている場合、子どもの命や安全に危険が及ぶリスクがありますので一刻も早く対応することが大切です。警察への相談をちゅうちょしていると、いじめがさらにエスカレートし、取り返しのつかない事態になることもあります。子どもの命や安全を守るためにも、当事者である子どもと保護者だけで抱え込むことは避け、早めに警察に相談するようにしましょう。

  2. (2)いじめを警察に相談する際のポイント

    いじめを警察に相談する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

    ① いじめの証拠を集めておく
    警察にいじめの相談をしたとしても、証拠がなければ警察が動いてくれない可能性があります。そのため、子どもがいじめを受けていることがわかったら、いじめの証拠になりそうなものを集めるようにしましょう。いじめの態様によって集めるべき証拠は異なりますが、代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

    • 壊されたり、汚されたりした私物
    • いじめにより生じた怪我の写真
    • 診断書
    • いじめられている状況の録音・動画データ
    • いじめ加害者からの手紙
    • SNS上のいじめや誹謗中傷などのスクリーンショット

    ② 事件性が高いことを主張する
    警察は、犯罪行為に該当するようないじめでなければ動いてくれませんので、上記の証拠を提示しながら事件性が高いことを強く主張していくことが大切です。

    「子どもがいじめられているようです」と伝えても警察は動いてくれませんので、「子どもが同級生から殴られて、全治○週間の怪我をしました。傷害罪で被害届を提出します」というように具体的に伝えていくようにしましょう。

3、いじめを警察に相談する前に、できることはある?

悪質ないじめが発生したとき、警察へ相談することは有効な手段のひとつです。しかし、警察に相談してもすぐに動いてくれるとは限りませんので、警察への相談以外にも以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)学校に対して適切な調査や対応を申し入れる

    いじめは学校内で発生した問題ですので、学校側に適切な対応を行ってもらう必要があります。まずは、学校側にいじめの調査を実施してもらい、いじめの事実が明らかになったときは、加害児童・生徒への指導、今後の再発防止に向けた対策、被害児童・生徒のケアなどを求めていくようにしましょう。

    調査に動かないなど、学校側がいじめに対して誠実に向き合ってくれない場合には、国公立学校の場合には市町村または都道府県の教育委員会、私立学校の場合には各都道府県に設置されている私立学校主管部課に相談するというのも有効な手段です。

  2. (2)弁護士に相談する

    いじめ問題に保護者だけで対応することに不安を感じるときは、弁護士へご相談ください。
    弁護士というと法的トラブルを扱う専門家というイメージがあるかもしれませんが、いじめも弁護士の取り扱える問題のひとつです。

    保護者から学校側に相談をしても話し合いが進まない・適切に対応してくれないといったケースであっても、弁護士が代理人として対応することで学校側が調査などの対応を行い、いじめ問題が解決に向かう可能性があります。
    その他にも、弁護士に相談することには次章で説明するようなメリットがありますので、子どもがいじめられていることに気付いたときは、弁護士にご相談ください

4、学校でのいじめ問題を弁護士に相談するべき理由

子どもが学校でいじめられていることが発覚したときは、以下のような理由から弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)状況に基づいた最適な解決案を検討できる

    犯罪行為に該当する悪質ないじめがあった場合、いじめをした加害者や学校側に対して、法的責任を追及することができる可能性があります。誰に対して、どのような責任を追及できるかは、具体的な状況によって異なるため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
    弁護士に相談することで状況に応じた最適な解決案を提案してもらうことができるでしょう。

  2. (2)学校への調査の働きかけができる

    いじめ問題を明らかにするには、学校側の協力が不可欠です。保護者による働きかけでは学校側が真剣にいじめ問題に取り組んでくれない場合でも、弁護士が代理人となり調査の働きかけをすることで学校が調査に取り組んでくれる可能性が高くなります。

  3. (3)学校や加害者側との交渉ができる

    学校や加害者に対していじめの法的責任を追及する場合、まずは相手との交渉を行わなければなりません。しかし保護者自らが対応するとなれば、具体的にどのように交渉を進めればよいかわからず不適切な対応をしてしまったり、相手の対応が不誠実だったりした場合には精神的ストレスを感じることもあるでしょう。

    弁護士に依頼すれば、学校や加害者との交渉をすべて任せることができますので、保護者自身の負担を軽減しながら、適切に交渉を進めることができます。

  4. (4)被害届や告訴状などの対応ができる

    犯罪行為に該当するような悪質ないじめについては、民事上の責任追及だけではなく、刑事上の責任追及も検討する必要があります。

    刑事上の責任追及をする際には、警察への被害届や告訴状の提出が必要になりますが、弁護士に依頼すれば、その書面作成なども任せることができます。弁護士は法的な手続きをサポートできるほか、証拠などに基づいて事件性を主張していきます。警察への通報や相談は不安も大きいものですが、弁護士に相談すれば安心して任せることができます。

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5、まとめ

いじめの中には犯罪行為に該当するような悪質ないじめも存在します。そのようないじめに直面したときは、警察に相談することも有効な手段です。

ただし、警察では、事件性がないと判断されると動いてくれない可能性もありますので、警察への相談以外にも弁護士に相談することも検討するとよいでしょう。弁護士であれば、加害者や学校側との対応をすべて任せることができますので、まずは弁護士にご相談ください。

子どもがいじめを受けて警察への通報・相談を検討している、学校側に対して適切な対応を求めたいといった場合にはベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立 2010年12月16日
連絡先 [代表電話]03-6234-1585
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  • ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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