いじめの弁護士コラム

いじめをしていないのに加害者に!? 冤罪を疑われた場合の対応とは

  • いじめ
2024年06月25日
いじめをしていないのに加害者に!? 冤罪を疑われた場合の対応とは

子どもの学校生活の中で発生したいじめは、迅速に解決すべき問題です。

しかし、いじめ問題において、本来はいじめをしていないにもかかわらず、「いじめをした」と言われてしまう、いわゆる冤罪(えんざい)事件が起こることがあります。被害者側の一方的な言い分により加害者扱いされてしまった子どもの心には大きな傷がつき、一生のトラウマを抱えてしまうおそれもあります。

子どもがいじめの冤罪により加害者として扱われてしまった場合、親としてはすぐに適切な対応を取るとともに、学校側に対して法的責任の追及を検討していくことも考えられます。今回は、子どもがいじめの冤罪を疑われた場合の対応と学校側の法的責任について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。


1、いじめの冤罪とは? 冤罪が起こり得る理由

いじめの冤罪とはどのようなことをいうのでしょうか。また、どのような理由でいじめの冤罪は起こるのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

  1. (1)いじめの冤罪とは

    いじめの冤罪とは、本来いじめの加害者でないにもかかわらず、いじめの加害者として扱われてしまうことをいいます。このようないじめの冤罪が生じる理由としては、主に以下のようなケースが考えられます。

    • いじめっ子グループと仲がよかったため加害者にされてしまうケース
    • 本当の加害者が責任逃れのために第三者を加害者に仕立て上げるケース

    いじめの冤罪により加害者として扱われてしまった子どもは、心に傷を負い一生のトラウマを抱えてしまうおそれもあります。そのため、子どもが冤罪により加害者にされてしまった場合には、早期に適切な対応を取ることが重要です。

  2. (2)いじめの冤罪が起こり得る理由

    上記のようないじめの冤罪が起こり得る理由としては、以下のようなことが考えられます。

    ① 学校側がしっかり調査をしなかった
    学校側は、いじめの被害者の言い分を重視する傾向が強いため、冤罪により加害者とされた子どもが「自分はやっていない」などと強く主張したとしても受け入れてもらえないことがあります。
    また、学校側は、いじめ問題が発覚した場合に、世間やマスコミからたたかれるのをおそれて、形式的な調査だけでいじめ問題を処理しようとすることもあり得ます。

    十分な調査をすればいじめの冤罪であることが明らかになるにもかかわらず、しっかりと調査をしなかったことが原因でいじめの冤罪が生まれることがあるのです。

    ② 影響力が強い子どもの意見が通りやすい
    いじめの調査では、影響力が強い子どもの意見が通りやすいということもいじめの冤罪が生まれる原因のひとつです。

    いじめの本当の加害者がうそをついて、別の子どもをいじめの加害者に仕立て上げたとしても、他の子どもたちはいじめ加害者からの報復をおそれて、本当のことを言えなくなってしまうことが考えられます。またたとえば、普段はまじめな性格の子どもがいじめの加害者だった場合、いじめ調査をする教職員は、そのようなまじめな子どもの意見を重視してしまうこともあり得ます。その結果、冤罪であることに気付かずに別の子どもが加害者であると決めつけてしまうのです。

    このようにクラスや学校内で影響力の強い子どもの意見が通りやすいため、いじめの冤罪という誤った判断がなされてしまうのです。ただし、いじめは、被害者がいじめられたと感じればいじめとなるため、子どもがやっていない・遊びのつもりだったと言っても、いじめとなり得る可能性がある点には注意が必要です。

2、子どもがいじめの冤罪で、「加害者」と言われたときにすべきこと

もし、子どもがいじめの冤罪で「加害者」と言われてしまった場合には、以下のような対応が必要です。

  1. (1)子どもの話をしっかり聞く

    自分の子どもがいじめの加害者だと言われてしまったときは、すぐに子どもを叱りつけるのではなく、まずは子どもの話にしっかりと耳を傾けてあげてください。
    冤罪により加害者と扱われてしまった子どもは、心に大きな傷を受けています。そのような状態で親にもいじめの加害者だと疑われてしまうと「誰にも信じてもらえない」と感じ、心を閉ざしてしまう可能性もあります。

    親としては、まずは子どもの話をしっかりと聞き、どのような状況で何があったのかを確認することが大切です。子どもを疑うような言葉づかいは避けるなど、慎重に言葉を選んで質問していくようにしましょう。

  2. (2)冤罪である証拠を集める

    子どもの話からいじめの冤罪である可能性が高くなったら、次は、いじめの冤罪を証明するための証拠を集めます。子どもの言い分を裏付ける証拠や被害者の主張と矛盾する証拠などを集めることで、冤罪を証明することにつながります。

    具体的には、以下のようなものがいじめの冤罪を証明する証拠になり得ます。

    • 周りの児童・生徒からの証言
    • いじめがあったとされる場面の動画や音声
    • いじめに関するやり取りをしていたLINEのトーク履歴
    • 冤罪により加害者とされた子どもの言い分を聞き取ったメモ
  3. (3)学校に相談する

    いじめの冤罪は、学校側がしっかりと調査することで冤罪が明らかになることがあります。自分の子どもが冤罪によりいじめの加害者として扱われているのであれば、学校に相談して、再調査を求めてみましょう。なお、その際には、冤罪であることを裏付ける証拠も一緒に提出することで、学校側が再調査を行う可能性が高まります

  4. (4)弁護士に相談する

    いじめの冤罪を晴らし、加害者でないことを証明するためには、保護者の力だけでは対応が難しいケースも少なくありません。また何から手をつければよいかわからず、証拠集めや学校への働きかけの適切なタイミングを逃してしまう可能性もあります。

    そのため、保護者だけで対応するのが難しいと感じるときは、すぐに弁護士に相談しましょう。いじめ問題に詳しい弁護士であれば、冤罪の証拠収集や学校側への対応についてのサポートが可能ですので、早期解決を期待できます。

3、いじめが冤罪だった場合、学校の責任は?

いじめが冤罪だった場合、学校側に対してどのような責任を追及することができるのでしょうか。

  1. (1)謝罪や再発防止の要求

    いじめの冤罪が明らかになった場合、子どもはいじめをしていないにもかかわらず、加害者として無実の罪を着せられていたことになります。学校側の対応に落ち度があったためにいじめの冤罪が生じたといえる場合には、学校側にも一定の責任がありますので、謝罪を要求することができます。

    また、今後も同様ないじめの冤罪が生じることがないようにするためにも、学校側には再発防止に向けた具体的な対策を講じるよう求めましょう。

  2. (2)慰謝料などの損害賠償請求

    学校側が十分な調査をすることなく、他の児童・生徒の一方的な言い分に基づいて「いじめがあった」と認定したことによりいじめの冤罪が発生した場合、学校側には一定の法的責任が生じます。
    いじめの冤罪により加害者として扱われた子どもは、多大な精神的苦痛を被っていますので、学校側に対して、慰謝料などの損害賠償請求を検討することができます。

  3. (3)刑事告訴

    いじめの冤罪により加害者でないにもかかわらず、他の児童・生徒の前でいじめの加害者として扱われると、子どもの名誉は著しく傷つけられたことになります。
    このような公然と事実を摘示し他人の名誉を毀損する行為は、刑法上の名誉毀損(きそん)罪にあたるため、加害者扱いした教師や児童・生徒を名誉毀損罪で刑事告訴することができる可能性があります。

4、いじめの冤罪を疑われた場合に、弁護士へ相談すべき理由

子どもがいじめの冤罪を疑われたときは、以下のような理由から弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)代理人として学校側や被害者との交渉・対応ができる

    いじめの冤罪で親が学校側や被害者とされる児童・生徒との話し合いの場に出ていったとしても、学校側や被害者は、いじめの加害者であることを前提として話を進めてきますので、こちら側の主張を聞いてもらえないケースも少なくありません。

    しかし、弁護士に依頼をすれば、弁護士が代理人として学校側や被害者との交渉や対応を行うことができますので、こちら側の話にも耳を傾けてくれる可能性が高くなります。いじめの冤罪を晴らすためには、しっかりと主張を伝えることが重要になりますので、弁護士への依頼が不可欠といえます。

  2. (2)学校に対するいじめ調査の働きかけ

    いじめの冤罪を晴らすためには、前述のとおり冤罪であることを裏付ける証拠が必要です。しかし、いじめの冤罪を疑われている側において閉鎖的な学校内で行われたいじめに関する証拠を集めるのは非常に難しく、自分たちだけでは十分な証拠が得られないケースも少なくありません。

    弁護士に依頼をすれば、弁護士が学校側に働きかけることにより、いじめ調査を実施させることができる場合があります。いじめに関する証拠を入手するには、学校側によるいじめ調査が必要になりますので、十分な証拠が得られないときは、弁護士への依頼を検討しましょう。

  3. (3)法的責任の追及

    いじめの冤罪を証明できた場合、子どもの名誉や被害を回復するために学校側への法的責任の追及を検討することができます。
    しかし、法的責任の追及にあたっては、法的知識や経験が不可欠となりますので、弁護士のサポートがなければ適切に責任追及の手続きを進めていくことは困難です。子どもと保護者だけで無理に対応しようとせず、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

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5、まとめ

いじめの冤罪により加害者として扱われた子どもは、心に大きな傷が生じます。子どもの親としては、まずは子どもの言い分をしっかりと聞きましょう。そのうえで、いじめの冤罪である疑いが強くなったときは、学校側に対して適切な対応を求めていく必要があります。

いじめをしていない場合は、泣き寝入りする必要はありません。いじめの冤罪は弁護士に相談することで解決できる可能性もありますので、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立 2010年12月16日
連絡先 [代表電話]03-6234-1585
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  • ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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