令和4年に兵庫県の小学校で、男子児童が集団いじめに遭っていたことが報道されました。学校による聞き取り調査の結果、クラス29人のうち26人の児童がいじめに関わっていたことが判明しました。
学校のように集団で活動する場面では、ひとりに対して複数人によるいじめが起きることがあります。もし子どもが学校で集団いじめに遭った場合、学校への相談や対応などどのように行えばよいのでしょうか。
本記事では、子どもへの集団いじめに対して保護者がとるべき対応などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
いじめ行為とは具体的にどのようなものなのでしょうか。また、子どもの集団でいじめが発生しやすいのはなぜなのでしょうか。
令和3年度に文部科学省が行ったいじめ行為に関する調査では、学校において以下のようないじめが発生していることがまとめられています。
小学校 | 中学校 | 高等学校 | 特別支援学校 | |
---|---|---|---|---|
冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。 | 57.0% | 62.2% | 58.7% | 48.3% |
仲間はずれ、集団による無視をされる。 | 12.4% | 9.6% | 15.8% | 7.0% |
軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする。 | 25.0% | 14.3% | 7.7% | 24.1% |
ひどくぶつかられたり、たたかれたり、蹴られたりする。 | 6.3% | 4.9% | 3.0% | 6.8% |
金品をたかられる。 | 0.9% | 0.9% | 2.1% | 1.6% |
金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。 | 5.1% | 5.0% | 4.8% | 3.9% |
嫌なこと、恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。 | 9.6% | 8.1% | 6.2% | 13.0% |
パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる。 | 1.9% | 10.0% | 17.3% | 7.8% |
その他 | 4.5% | 3.5% | 7.6% | 8.4% |
出典:「いじめの状況及び文部科学省の取組について p6 いじめの態様別状況について」(文部科学省初等中等教育局)
これらのいじめは、いずれもひとりの児童・生徒をターゲットとして、複数人によって行われるケースが非常に多いです。
では、子どもの集団でいじめが発生しやすいのはどういった理由があるのでしょうか。文部科学省の「いじめ対策Q&A」では、その理由を「学校やクラスは、異質なものを排除して集団の結びつきを強めようとする傾向があり、集団内での不適応や人間関係のゆがみが表れやすいから」としています。
いじめは多くの場合、ひとりまたは少数人が他の児童・生徒を攻撃することから始まります。そこに興味本位の子どもやいじめをしている中心人物に対して恐怖を感じている子どもや逆らえない子どもなどが参加し、いじめの加害者が増えていきます。
中にはいじめはよくないと考えている子どももいるはずですが、「被害者の味方をすると自分がやられるのではないか」といった不安から、実際に被害者を守ることはせず傍観者になってしまうことが考えられます。その結果、加害者グループはどんどん増長して、被害者への攻撃を強めます。
このように、小規模で始まったいじめが次第に大規模化し、止められる人間がいなくなるのが集団いじめに多いパターンです。
本来であれば、学校側が介入して集団いじめを止めさせるべきですが、学校側が見て見ぬふりをするなど、集団いじめを助長するような対応をしている例も中にはあります。
子どもが集団いじめを受けていることが分かったら、保護者は速やかに以下の対応をとりましょう。
学校での集団いじめを解決するためには、学校側の協力が必要不可欠です。そのためには、学校側に対して集団いじめの状況を正確に伝える必要があります。
まずは子どもからよく話を聞き、集団いじめの状況を整理しましょう。そのうえで、学校側に深刻な状況を伝えれば、何らかの対応をとってもらえる可能性があります。
学校側を動かすには、集団いじめの明確な証拠を提示することが効果的です。たとえば、いじめの状況を記録した動画や録音などがあれば、集団いじめの有力な証拠となります。
集団いじめの証拠を確保することは、後に損害賠償請求などを行う際にも役立ちます。いじめ現場の動画や録音のほかにも、汚されたり壊されたりした物や子どもの日記など、集団いじめの立証に使えそうな証拠は、できる限り集めて保存しておきましょう。
子どもが集団いじめに耐えかねている場合は、学校へ行くのをやめることも検討すべきです。ただし学校に行かなくなると、子どもの学習機会が失われてしまいます。そのため保護者としては、代替的な学習環境を確保することが求められます。
図書館などで自学自習できる子どもであれば、自主性に任せることも有力な選択肢でしょう。新しい参考書を買い与える、経験したことがない活動への参加を促すなど、学習意欲を刺激するようなサポートを保護者が行うことも考えられます。
子どもが自分で学習することが難しい場合には、塾やフリースクールなど、学習できる環境を用意することも検討しましょう。
いじめは当然のことながら許されない行為であり、内容によっては損害賠償や刑事罰の対象になり得ます。
加害者に対する損害賠償請求や刑事告訴については、法律の専門家である弁護士が相談先となります。また、弁護士に相談すれば、学校側との協議を通じて、いじめの調査や再発防止策の実施を働きかけてもらうこともできます。
参考
集団いじめの解決にあたっては、以下のポイントに気をつけながら進めるようにしましょう。
集団いじめに遭っている子どもは、強く孤独を感じています。保護者としては、子どもの最大の味方であることを真っ先に伝え、子どもの心情に寄り添いながら最大限のサポートを行いましょう。
集団によるいじめを受けた子どもは、「誰も味方がいない」と感じてふさぎ込んでいってしまうことがあります。そのため、まずは保護者が一番の味方となって寄り添うことが大切です。
いじめを解決したい一心で、子どもの意思よりも保護者が先走って行動してしまうと、子どもが置かれている状況がかえって悪化してしまうおそれがあります。
集団いじめへの対応にあたっては、子どもの意思を尊重するのが鉄則です。子どもが無理をしていないかどうかには気を配りつつ、子どもの意思を確認しながら対応しましょう。
集団いじめを早期に解決するには、学校側の協力が欠かせません。
いたずらに強硬な態度で学校側の責任を指摘すると、学校側に警戒され、いじめ調査や再発防止策がスムーズに行われないことがあります。保護者としては、少なくとも当初は落ち着いた態度で学校側と協議し、スムーズな問題解決への協力を求めるのがよいでしょう。
もっとも、学校側の態度がはっきりしない場合には、弁護士を通じて強く対応を求めることや、学校側に対しても損害賠償を請求することを検討すべきです。
学校での集団いじめ被害を解決するため、弁護士は主に以下のサポートを行っています。弁護士へのご相談が早期解決につながりますので、お早めにご相談ください。
弁護士は、いじめ調査や再発防止策に関する学校や教育委員会との協議を依頼者の代理人として対応することができます。また、依頼者が希望する場合には、弁護士は後方支援に徹して、学校などとのやり取りのサポートを行うことも可能です。
弁護士のアドバイスを受けながら学校側と協議することで、学校側のスムーズな対応を引き出せる可能性が高まります。
集団いじめによって子どもが受けた損害は、加害者に対して賠償を請求できます。また、学校の監督義務違反が認められる場合には、学校の設置者に対しても損害賠償を請求できることがあります。
弁護士は、損害賠償請求の準備や実際の対応を全面的に代行いたします。示談交渉や訴訟の対応を弁護士にお任せいただければ、適正額の損害賠償を得られる可能性が高まるとともに、ご本人やご家族のご負担が大幅に軽減されます。
集団いじめに犯罪行為が含まれる場合には、警察への刑事告訴も弁護士がサポートいたします。
弁護士は、告訴状などの作成や警察官への状況説明などを代行し、集団いじめについて速やかに捜査が開始されるように尽力いたします。
参考
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子どもが集団いじめに遭ってしまったら、まずは子どもに寄り添い、話を受け入れてあげることが大切です。そのうえで、解決に向けて弁護士のサポートを受けつつ、学校側とも協力しながら解決を目指しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、学校におけるいじめに関するご相談を受け付けております。子どもがいじめに遭っていることが分かった場合には、速やかにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
所在地 | 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス) |
設立 | 2010年12月16日 |
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