文部科学省の資料によれば、いじめの認知件数はここ数年で急増しており、平成26年度には18万8072件だったのに対して、令和4年度では68万1948件となっています。学校現場におけるいじめの状況は、極めて強く憂慮すべきといえるでしょう。
学校で不快なことをされたとしても、それがいじめに当たるのかどうか判断できず、対処にお困りの方も少なくありません。基本的には、被害者である子どもが心身の苦痛を感じた場合には「いじめ」と捉えるべきです。子どもがいじめを受けている可能性が少しでもある場合には、早急に対応する必要があるため弁護士にご相談ください。
本コラムではいじめについて、法律上の規制内容、どのような行為がいじめに当たるのか、加害者や学校側に対する責任追及の方法などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
出典:「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(いじめ関連部分抜粋版)」(文部科学省)
いじめ被害への対策として、「いじめ防止対策推進法」という法律が制定・施行されています。
いじめ防止対策推進法では、いじめを明文で定義したうえで、いじめに関する重大事態への対処に関するルールなどを定めています。
いじめ防止対策推進法第2条第1項では、いじめを以下のとおり定義しています。
上記の定義によれば、児童等が他の児童等に対する行為のうち、受け手が心身の苦痛を感じるものは幅広くいじめに該当します。
いじめ防止対策推進法第28条第1項では、以下の事態を「重大事態」と定義しています。
たとえば、以下のようなケースが重大事態に該当します。
学校側が重大事態の発生を認めたときは、調査、児童・生徒および保護者への報告、対処、再発防止措置などを行うことが義務付けられます(同法第28条~第32条)。
また、行政通達によって文部科学省への報告も要請されています。
参考:「令和5年3月10日いじめ重大事態に関する国への報告について(依頼)」(文部科学省)
学校で行われることの多いいじめとしては、以下の例が挙げられます。
上記に限らず、被害を受けた側の子どもが心身の苦痛を感じるものはすべていじめに当たります。行為者側はいじめだと思わずに、相手を冷やかしたりたたいたりした場合でも、それらの行為を受けた側が心身の苦痛を感じ、「いじめられた」と言えば、いじめとなるのです。
いじめを受けた被害児童・生徒やその保護者は、加害児童・生徒またはその保護者、および学校側に対する損害賠償請求を検討することができます。
いじめは不法行為(民法第709条)に当たるため、被害児童・生徒は、加害児童・生徒に対して、自らが被った損害の賠償を請求できます。
損害賠償の対象となるのは、精神的損害を補塡(ほてん)する慰謝料のほか、暴力を受けたことによるケガの治療費などです。何らかの後遺障害をもたらした場合は、後遺障害に対する慰謝料や逸失利益の損害賠償も請求できます。
加害児童・生徒が低年齢(おおむね10~12歳以下)の場合は、責任能力が認められずに損害賠償責任を負わないことがあります(民法第712条)。その場合は、加害児童・生徒の保護者に対して監督義務者としての責任を追及可能です(民法第714条第1項)。
学校側は、学校現場において児童・生徒が安全に過ごせるように、必要な配慮を行う義務を負うと解されています(=安全配慮義務)。
いじめを予防することや、実際に発生したいじめに対処することは、学校側が負う安全配慮義務の一環です。学校側の不適切な対応によっていじめが発生・継続した場合には、被害者は学校側に対しても損害賠償を請求できます。
加害児童・生徒またはその保護者、および学校側に対する損害賠償請求は、主に以下の手続きを通じて行います。
損害賠償請求を行う場合、いきなり民事調停・訴訟を申し立てるのではなく、まずは当事者間での交渉を行うケースが一般的です。しかし、いずれの手段の場合でもご自身だけで対応するのは精神的負担も大きく、適切な対応が難しいことが考えられます。そのため、加害児童・生徒および学校への責任追及は弁護士に依頼することをおすすめします。
学校におけるいじめについて、被害者が、加害者や学校からの謝罪や適正な損害賠償を受けるためには、弁護士へご相談ください。
弁護士はいじめ被害を回復するため、以下の対応などを通じて被害者をサポートいたします。
学校におけるいじめの全容を明らかにするためには、学校運営者の協力の下で調査を行うことが必要不可欠です。
弁護士は学校側に対して、いじめについて誠実な調査を行うように強く要請します。学校側が難色を示した場合は、安全配慮義務を負っていることを指摘したうえで、学校としての責任を果たすように粘り強く交渉します。
被害児童・生徒が健全に学校生活を送っていくためには、いじめの再発防止策を講じることが重要です。
弁護士は学校側との間で、再発防止策についても協議を行います。どのような原因でいじめが発生したのか、被害児童・生徒が何を苦痛に感じていたのかなどを十分に踏まえたうえで、実効的な再発防止策を講じるように学校側に対して要請します。
加害児童・生徒、その保護者、学校側に対する損害賠償請求は、準備や対応に大きな労力を要します。
また、損害賠償請求を成功させるためには、法的な根拠に基づく主張を行うことが必要不可欠です。具体的には、いじめの証拠を確保することや、損害額を適切に積算することなどが必要であり、多くの場面で専門的知識を必要とします。
弁護士は被害児童・生徒の代理人として、損害賠償請求に関する対応を全面的に代理いたします。請求に必要な証拠の収集に加えて、示談交渉・民事調停・訴訟などの手続きへの対応についても、弁護士にお任せいただけるので安心です。
弁護士が法的な根拠に基づく主張を行うことで、被害児童・生徒が適正な損害賠償を受けられる可能性が高まります。
子どもが学校でいじめを受けている可能性がある場合は、損害賠償請求などについてお早めに弁護士へご相談ください。
参考
学校での問題・トラブルの
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いじめ防止対策推進法では、児童・生徒間で行われる行為のうち、受け手が心身の苦痛を感じるものを「いじめ」と定義しています。行為者がどのような意図や感情を持っていても、受け手が苦痛に感じる場合はいじめに当たります。
いじめの被害者は、加害者またはその保護者、および学校側に対して損害賠償を請求可能です。損害賠償請求に当たっては、弁護士へのご依頼をおすすめします。弁護士が損害賠償請求を代理することで、適正額の損害賠償を受けられる可能性が高まり、かつ精神的な負担や労力も大幅に軽減されます。
さらに弁護士は、学校側との間で再発防止策についても協議し、被害児童・生徒が健全な学校生活を送れるように後押しいたします。いじめの状況を改善できずに悩んでいる方は、速やかに弁護士へご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、学校問題に関するご相談を受け付けております。弁護士がいじめ被害者の方の心情に寄り添い、丁寧に意思疎通をしながら、いじめの適切かつ早期の解決に向けて尽力いたします。
子どもが学校でいじめに遭っている可能性がある場合は、すぐにベリーベスト法律事務所へご相談ください。弁護士が親身になってお話をお伺いいたします。
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