いじめ防止対策推進法では、学校におけるいじめのうち深刻なものを「重大事態」と定義し、学校・教育委員会・行政機関などに対処を義務付けています。
もし子どもが深刻ないじめに遭っている場合には、弁護士のサポートを受けながら、その被害を学校側に対して訴えましょう。
本記事ではいじめに関する「重大事態」について、定義・具体例・調査の流れ・いじめを受けている場合に確認すべきこと・解決に向けた法的対応などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
いじめ防止対策推進法では、深刻ないじめを「重大事態」と定義して、学校側に対処を義務付けています。
いじめ防止対策推進法に定義される「重大事態」に当たるのは、以下のいずれかに該当する場合です(同法第28条第1項)。
たとえば以下のような事態は、いじめ防止対策推進法に定義される「重大事態」に当たると考えられます。
学校側は、いじめ防止対策推進法に定義される重大事態が生じたと認めたときは、調査、いじめ被害を受けた児童・生徒と保護者への報告、重大事態への対処および再発防止のための措置などを行うことが義務付けられています(同法第28条~第32条)。
さらに2023年4月1日より、重大事態については文部科学省に対する報告も求められています。
参考:「令和5年3月10日いじめ重大事態に関する国への報告について(依頼)」(文部科学省)
学校側が重大事態を認めた場合、以下の流れで調査などを行わなければなりません。
まずは学校の種類に応じて、上位の行政機関などへ報告を行う必要があります。報告先は以下のとおりです。
なお、重大事態の報告を受けた行政機関などは、必要に応じて当該重大事態の再調査を行うことができます(同法第29条第2項、第30条第2項、第31条第2項、第32条第2項)。
重大事態を把握した学校の設置者および学校は、速やかに調査組織を設置したうえで、重大事態に関する事実関係を明らかにするための適切な調査を行わなければなりません(いじめ防止対策推進法第28条第1項)。
調査組織には、弁護士・精神科医・学識経験者・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなど、いじめの関係者と直接の人間関係や利害関係を有しない専門家の参加が推奨されます。
実際の調査には、いじめ被害に遭った児童・生徒および加害者側に対する聴き取りに加えて、学校の在籍児童・生徒や教職員に対する質問票調査や聴き取りなどの方法が用いられます。
また、従前の経緯や事案の特性から必要な場合や、いじめ被害を受けた児童・生徒および保護者が望む場合は、上位の行政機関など(公立学校であれば、教育委員会や地方公共団体の長)が並行して調査を行うことも考えられます。
学校の設置者または学校が重大事態の調査を行った際は、いじめ被害に遭った本人およびその保護者に対して、重大事態の事実関係など必要な情報を適切に提供(=説明、報告)することが義務付けられています(いじめ防止対策推進法第28条第2項)。
具体的には、以下の事項などの説明や報告をすることが求められます。
児童・生徒および保護者への報告に当たり、学校側は他の児童などのプライバシー保護に配慮する必要があります。ただし、個人情報保護を盾に適切な説明をしないなどといったことをしてはなりません。
重大事態については、学校の設置者や学校側が、被害者のケアや加害者への対処、再発防止などの措置を講じる必要があります。
さらに、上位の行政機関などが再調査を行った場合には、重大事態への対処および再発防止のために必要な措置を講ずるものとされています(いじめ防止対策推進法第29条第3項、第30条第5項、第31条第3項、第32条第3項)。
重大事態に関する調査結果は、特段の支障がない場合は公表することが望ましいとされています。
公表するか否かは、以下の事情を総合的に考慮して、学校の設置者および学校が適切に判断する必要があります。
子どもが重大事態に当たると思われるいじめを受けている場合は、子どもを守るために以下の対応を行いましょう。
いじめへの対応については、子どもの意思を尊重するのが基本的かつ大切な考え方です。
子どもと根気強く対話をしながら、親の介入を求めているのかどうか、転校したいのか現在在籍している学校に通い続けたいのかなど、子どもの真の希望を把握したうえで対応することを心がけましょう。
加害者の責任を追及するに当たっては、いじめの証拠を確保しておくことが重要になります。
録音や録画、ケガをした場合は医師の診断書、物を壊された場合はその写真など、いじめの事実につながる証拠はできる限り確保しておきましょう。
いじめへの学校側の対応が不適切な場合、学校側に対して損害賠償を請求することも考えられます。その際に備えて、学校側とのやり取りの内容も記録しておきましょう。
いじめの被害に遭った場合は、経済的にも感情的にも損害を回復するため、加害生徒や学校に対する責任追及を検討しましょう。
法的には、以下の方法によって学校や加害生徒の責任を追及できます。
いじめによる損害については、加害児童・生徒に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できます(民法第709条)。
また学校側に対しても、安全配慮義務違反などが認められれば損害賠償を請求可能です。
実際に、学校や教育委員会のいじめ対応に不適切な部分があったため、不登校が長期化したケースにおいて、自治体に55万円の損害賠償が命じられた事案があります(さいたま地裁令和3年12月15日判決)。
ケガや病気の治療費や慰謝料を含めて、幅広い項目が損害賠償の対象となります。弁護士にご相談いただき、適正額の損害賠償を請求しましょう。
いじめはその態様により、暴行罪・傷害罪・恐喝罪・器物損壊罪などの犯罪に当たる可能性があります。
加害児童・生徒に対する処罰を望む場合は、警察署に告訴状を提出して刑事告訴を行うことになりますが、弁護士にご相談いただければ、刑事告訴に関する手続きについてもサポートが可能です。
いじめ被害を解決するためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。
弁護士は被害者の方の代理人として、いじめ防止対策推進法に基づく調査や再発防止策などを学校側に求め、学校側との交渉などを全面的にサポートいたします。また損害賠償請求や刑事告訴を行う場合における手続きなども代行することが可能です。
弁護士にご依頼いただければ、精神的なご負担を軽減しながら、いじめ被害の解決へと着実に近づくことができます。
子どもがいじめに遭っている場合は、お早めに弁護士までご相談ください。
参考
学校での問題・トラブルの
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いじめの重大事態に対しては、学校側の調査などが義務付けられています。もし学校側が適切に対応してくれない場合、弁護士が介入することで適切な調査やそれに基づく報告、対応が行われるケースがあります。
また、弁護士は損害賠償請求や刑事告訴のサポートも行っています。いじめについて、加害生徒や学校の責任を追及したい方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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設立 | 2010年12月16日 |
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