いじめの弁護士コラム

LINEいじめに対する対処法とは? 法的措置をとることもできる?

  • いじめ
2023年10月31日
LINEいじめに対する対処法とは? 法的措置をとることもできる?

LINEや「学校裏サイト」などを通じたインターネット上でのいじめは、学校現場において大きな問題となっています。

もしLINEいじめなどに遭ったら、学校や弁護士の協力を得ながら早期解決を目指しましょう。

本記事では、LINEいじめの特徴やパターン、いじめ被害に遭った場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。


1、「LINEいじめ」などのネットいじめの実態

令和4年11月に行われた「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、ソーシャルメディア系サービス・アプリ等の利用率は高い水準で推移しています。
その中でも、10代における利用率がもっとも高いのがLINEで、令和4年度には93.6%がLINEを利用していると回答しています。
出典:「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」p12(総務省)

その一方で、ソーシャルメディア系サービス・アプリ等を通じたいじめが、学校現場において大きな社会問題となっています。

令和3年に行われた「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる。」との回答の件数は以下のとおり推移しており、年々増加傾向にあります。

年度 回答数
平成26年度 7898件
平成27年度 9187件
平成28年度 1万779件
平成29年度 1万2632件
平成30年度 1万6334件
令和元年度 1万7924件
令和2年度 1万8870件
令和3年度 2万1900件

出典:「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」p7(文部科学省)

2、LINEいじめの特徴・パターン

LINEを通じたいじめ(LINEいじめ)は、学校現場において発生頻度の高い問題のひとつです。
LINEいじめの特徴や、よくあるパターンを紹介します。

  1. (1)LINEいじめの特徴

    LINEいじめには、主に以下の特徴があります。

    • テキストメッセージだけでやり取りが行われることが多いため、互いに勘違いが発生しやすく、それをきっかけにいじめへと発展することがある
    • やり取りの内容は、基本的に本人同士しか分からないため、親や教師などが気づきにくく、いじめの発覚が遅れるケースがある
    • 「送信取消」や「トークルームごと削除」などの機能により、いじめの証拠が隠滅される場合がある
    • 「既読スルーはよくない」など、必ずしも共通認識とはいえない考え方が原因で、いじめへと発展する場合がある
    • LINE内でのいじめにとどまらず、現実空間(オフライン)でのいじめに発展することもある
    など

    LINEを通じたやり取りには、いじめに発展するきっかけが多数存在しており、かついじめの発覚が遅れやすい傾向にあります。親の立場としては、普段から子どもとコミュニケーションをとり、いじめの兆候に気づくきっかけを作っておくことが大切です。

  2. (2)LINEいじめのよくあるパターン

    LINEいじめについては、特に以下のパターンがよく見られます。

    • グループLINE(LINEグループ)で仲間外れにされる、メッセージを送っても集団で無視される
    • グループLINEでいじめ対象者の悪口やうわさなどを言う
    • 嫌がっているのに、不快な画像や動画が送られてくる
    • 既読スルーや未読スルーをしたことなどをきっかけに、学校でいじめられる
    など

    一対一のいじめも見られますが、それ以上に複数人でひとりをいじめるケースが、LINEいじめにおいては特によく見られます。

    複数人によるいじめを受けた被害者は、周囲に味方が誰もいないように感じ、絶望的な気持ちになってしまうことが少なくありません。親としては、常に子どもの味方であることを日頃から伝え、LINEいじめなどを受けた際には子どもが相談しやすいように配慮することが大切です。

3、LINEいじめの被害を受けた場合の対処法

子どもがLINEいじめの被害を訴えてきた場合は、速やかに以下の対応を行いましょう。

  1. (1)学校に相談する

    まずは、いじめの事実を学校側に伝えて対処を求めましょう。

    学校側は生徒に対して、安全に学校生活を送ることができるように配慮する義務(=安全配慮義務)を負うと解されていますし、いじめ防止対策推進法上、いじめの通報があった場合には、学校における調査、被害者側の支援等を行う義務が学校に生じます(同法23条)。そのため学校側は、生徒の求めに応じて、いじめに関する事実確認、加害者に対する働きかけ、再発防止対策の実施などを行う義務を負います。

    いじめの被害者が、いじめを自分だけで解決することは困難な場合が多いです。複数人からいじめを受けている場合には、なおさら解決が難しいと考えられます。

    学校側の協力が得られれば、学校内での味方を増やすことができます。先生にいじめの相談をすれば精神的な負担が和らぐ可能性があるほか、加害者側もいじめを続けにくくなるなど、問題解決につながりやすくなることが考えられます。

  2. (2)弁護士に相談する

    いじめの被害については、弁護士に相談することも有力な選択肢のひとつです。

    弁護士は、いじめ被害を受けた子どもに寄り添いながら、学校および加害者との交渉や状況に応じた解決策の提案など、問題解決に向けたアドバイスやサポートが可能です。万が一、学校側が解決に向けて積極的に動いてくれない場合でも、弁護士が代理人として対応し、学校に対していじめの事実調査や再発防止策の検討などを求めることで、学校側が動いてくれるケースもあります。

    また、いじめは違法行為であり、加害者は民事・刑事上の責任を負います。弁護士は法律の専門家として、加害者に対する責任追及をサポートすることも可能です。

    学校全体・生徒全体のために業務を行う先生とは異なり、弁護士は依頼者の代理人として行動します。いじめの被害を受けた児童・生徒の純粋な味方として対応できる点が、弁護士の大きな特徴です。

    弁護士への相談をきっかけとして、いじめ被害が解決へと向かうケースも少なくありません。子どもに対するいじめ問題は、お早めに弁護士までご相談ください。

4、いじめの加害者が負う法的責任|被害者は責任追及を

いじめの加害者は、被害者に対する民事責任を負うほか、刑事責任を負う場合があります。被害者は、弁護士のサポートを受けながら、加害者に対する責任追及を行いましょう。

  1. (1)民事責任|不法行為に基づく損害賠償責任

    いじめは、被害者の権利を侵害して損害を与える「不法行為」に当たります(民法第709条)。被害者は不法行為に基づき、加害者に対して損害賠償を請求可能です。

    一例として、以下の損害が不法行為に基づく損害賠償の対象となります。

    ① 治療費
    暴力的ないじめによって生じたケガや、いじめによるストレスが原因で患った精神疾患などの治療費について、自己負担額全額の損害賠償を請求できます。

    ② 慰謝料
    いじめによって受けた精神的ダメージについて、その賠償として慰謝料を請求できます。

    ③ 転居費用・転校費用
    いじめ被害から逃れるために転居や転校を余儀なくされた場合、それにかかった費用の損害賠償を請求できることがあります。

    ④ 死亡した場合の逸失利益・近親者の慰謝料
    いじめが原因で子どもが亡くなった場合には、将来にわたって失われた収入(=逸失利益)と、親など近親者が受けた精神的損害の慰謝料について、それぞれ損害賠償を請求できます。

    ⑤ 弁護士費用
    不法行為に基づく損害賠償請求を行うために弁護士へ依頼した場合、弁護士費用も損害賠償の対象となります。訴訟では、損害額の1割程度の弁護士費用が認定されることが多いです。
  2. (2)刑事責任|名誉毀損(きそん)罪・侮辱罪・傷害罪・恐喝罪など

    いじめは、以下の犯罪に該当する場合があります。

    ① 名誉毀損罪(刑法第230条)
    公然と事実を摘示し、名誉を傷つけるようないじめについて成立します。
    たとえば、グループLINEで「父親が無職だ」「売春をしている」などと被害者の悪口を言った場合、それが事実であるか否かにかかわらず、名誉毀損罪により処罰される可能性があります。

    名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

    ② 侮辱罪(刑法第231条)
    事実を摘示することなく、公然と侮辱するいじめについて成立します。
    たとえば、グループLINEで「ブス」「バカ」などと被害者の悪口を言った場合、これらは加害者の感想であって事実ではないので、侮辱罪が成立する可能性があります。

    侮辱罪の法定刑は「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。

    ③ 傷害罪(刑法第204条)
    殴る・蹴るなどの暴行により、被害者にケガを負わせるいじめについて成立します。傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

    なお、ケガがなかった場合は「暴行罪」(刑法第208条、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)が成立します。

    ④ 恐喝罪(刑法第249条)
    いわゆる「カツアゲ」のように、被害者を恐喝して金品を交付させるいじめについて成立します。実際には金品の授受が行われず、未遂に終わった場合でも恐喝罪が成立します。

    恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

    いじめがこれらの犯罪に該当する場合、被害者は警察または検察に対する刑事告訴ができます(刑事訴訟法第230条)。刑事告訴をすると、いじめの事実に関する捜査が行われた結果、加害者が刑事訴追を受ける可能性が高まります。

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5、まとめ

LINEいじめに遭った場合は、学校や弁護士のサポートを受けながら早期解決を目指しましょう。弁護士にご相談いただければ、加害者に対する損害賠償請求や刑事告訴など、被害回復のための手続きを全面的にサポートいたします。

ベリーベスト法律事務所は、学校におけるいじめやトラブルのご相談を随時受け付けております。弁護士には、学校や加害者側とのやり取りや訴訟などの法的手続きなど、必要な対応をすべてお任せいただけるので安心です。
子どもに対するいじめにお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立 2010年12月16日
連絡先 [代表電話]03-6234-1585
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