いじめ被害について学校側に改善を求める場合や、学校や加害児童・生徒に対して損害賠償を請求する場合には、いじめの証拠を集めることが重要となります。
しかし、証拠がない場合やどのようなものが証拠になり得るのかわからない方も多いと思います。もし十分な証拠がそろっていない場合には、弁護士と協力して証拠を収集しましょう。
今回は、いじめ被害に関する証拠の重要性や、証拠がない場合の対処法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
いじめ被害を受けた場合に、その状況を改善するためには、いじめの証拠を確保することが非常に重要です。
いじめの証拠があれば、学校側も加害者に対して注意を行うなど、具体的な対応を取りやすくなります。また、損害賠償請求などの法的措置を講じる際にも、いじめの証拠がそろっていれば被害者側の主張が認められやすくなります。
とはいえ、いじめの証拠がなくても、学校側に相談することはできます。学校側は生徒に対する安全配慮義務を負うと考えられるため、いじめについても相談を受けたら適切に対応しなければなりません。
しかし、いじめの証拠に乏しい状況では、学校側もいじめ解決に向けた具体的な対応を取ってくれないケースが考えられます。また、証拠がそろっていない状況で損害賠償請求などを行っても、被害者側の主張が退けられてしまう可能性が高いでしょう。
いじめ被害からの脱却・回復を目指すためには、できる限り豊富にいじめの証拠を集めることが大切です。弁護士にご相談いただければ、証拠収集について親身になってアドバイスいたします。
いじめの代表的な証拠としては、以下の例が挙げられます。いじめに関する具体的な事情や状況に応じて、利用できる証拠はできる限り豊富に集めましょう。
いじめの現場を撮影した写真や動画、いじめの会話などを録音した音声データがあれば、いじめの有力な証拠となります。
被害者本人のスマートフォンを活用する方法のほか、友人の協力を得て撮影・録音する方法も考えられます。状況をみながら、克明な写真・動画の撮影や音声の録音を試みましょう。
また、LINEやX(旧Twitter)といったSNS上でのいじめにおいては、画面のスクリーンショットも有力な証拠となります。ポスト(ツイート)などは削除されてしまう可能性もあるので、発見したときにスクリーンショットを撮って保存しておくようにしましょう。
いじめによって壊された物や汚された物は、いじめの証拠として利用可能です。
特に、物損について損害賠償を請求する場合や、器物損壊罪(刑法第261条)で刑事告訴をする場合には、損壊等の状況についての証拠が必須となります。
壊された物や汚された物はそのまま保存するか、それが難しければさまざまな角度から写真や動画を撮影しておきましょう。
いじめを受けた当時において、被害者である子どもが書いた日記も、いじめの有力な証拠となる場合があります。
特に、いじめの様子が克明に描写されており、客観的な証拠と矛盾していなければ、日記の記述に高い信用性が認められる可能性が高いです。いじめ被害について子どもから相談を受けたら、できる限り詳しく日記を書くようにアドバイスするとよいでしょう。
友人などがいじめを目撃している場合は、その友人に証言してもらうことができれば、いじめの事実を立証する有力な証拠となります。
ただし目撃者である友人は、学校生活に支障を来すことを懸念して、いじめの証言をちゅうちょするケースも考えられます。その場合は粘り強く説得するとともに、可能であれば学校側の協力を得て、目撃者の友人の不安を払しょくできるように努めましょう。
暴力的ないじめを受けてケガをした場合は、直ちに医師の診察を受けましょう。医師の診断書は、いじめの状況に関する有力な証拠となります。
また、いじめによってうつ病などの精神疾患を発症した場合も、医師の診察を受けるべきです。いじめと発症の間の因果関係を、医師の診断書によって証明できる可能性があります。
いじめ問題を解決するためには、できる限りいじめの証拠を収集したうえで、状況に応じて以下の対応を使い分けましょう。
いじめの状況をより詳しく知るためには、証拠を基に学校側から話を聞くことが考えられます。また、加害者の言い分を把握するため、加害者から直接話を聞くことも重要です。
ただし、学校側はいじめを隠蔽(いんぺい)しようとする可能性があり、加害者は責任を逃れようとする可能性があるため、事実をありのまま話してくれないケースも考えられます。
その場合は、弁護士を通じて学校や加害者に連絡を取るのがよいでしょう。弁護士が調査を尽くしたうえでヒアリングを行えば、不利な立場を悟った学校や加害者から事実に沿った話を聞けるかもしれません。
いじめの加害者は、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法第709条)。また、いじめを防ぐための必要な配慮を怠った学校も、被害者に対して債務不履行または不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合があります(民法第415条第1項、第709条)。
学校や加害者に対する損害賠償請求を行う際には、法的手続きに訴える前に、まず示談交渉を試みるのが一般的です。示談がまとまれば、早期に損害賠償を受けることができます。
いじめの有力な証拠を提示できれば、示談交渉を有利に進められます。弁護士のサポートを受けながら、できる限り豊富に証拠を収集して示談交渉に臨みましょう。
また弁護士にご依頼いただければ、いじめの示談交渉を全面的に代行いたします。学校や加害者と直接交渉する必要がなくなるため、被害者本人やご家族の負担は大きく軽減されます。
示談交渉がまとまらない場合は、裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起することができます。
損害賠償請求訴訟において、加害者を被告とする場合は、いじめの事実やそれによって生じた損害などを立証する必要があります。学校の設置者を被告とする場合は、さらに学校の注意義務違反を立証しなければなりません。
専門的な訴訟手続きの中で、被害者ご自身が適切にいじめの立証を行うことは非常に大変です。弁護士にご依頼いただければ、損害賠償請求訴訟の準備や手続きを全面的にサポートいたします。
いじめの内容によっては、加害者の行為に犯罪が成立することもあります。
これらの犯罪にあたるいじめの被害者は、警察官や検察官に対して刑事告訴ができます(刑事訴訟法第230条)。刑事告訴をすると、警察には捜査を尽くす義務が生じるため、加害者が検挙される可能性が高まります。
いじめの被害者を厳重に処罰してほしいと考えている場合は、刑事告訴をすることも検討しましょう。弁護士にご相談いただければ、刑事告訴の手続きについてもサポートが可能です。
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いじめ被害の証拠が十分にそろっていない段階でも、弁護士へのご相談は可能です。弁護士が丁寧にお話を伺ったうえで、有力な証拠を集めるための方法を検討いたします。解決に向けて必要となる証拠や証拠収集のためのアドバイスなどが可能なため、まずはお話をお聞かせください。
そのほか、いじめ被害について弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。
いじめの被害を受けている方は、ひとりで抱え込むことなく、一日でも早く誰かに相談することが大切です。親や先生だけでなく、弁護士も力になることができます。
いじめ被害に悩んでいる方は、お早めに弁護士までご相談ください。
参考
いじめ被害について学校側に改善を求め、または加害者や学校に対して損害賠償を請求する際には、いじめの証拠を集めることが重要です。直接的な証拠から状況証拠まで、できる限り豊富に証拠を収集しましょう。
いじめの証拠が十分にそろっていない場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。具体的な状況に応じた有力な証拠を確保するために、弁護士が知恵を絞って検討いたします。
ベリーベスト法律事務所は、学校でのいじめに関するご相談を随時受け付けております。学校側に対する働きかけや、加害者・学校に対する損害賠償請求などを、経験豊富な弁護士が親身になってサポートいたします。
お子さんからいじめの相談を受けた保護者の方は、ご自身だけで抱え込まず、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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設立 | 2010年12月16日 |
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