保育園・幼稚園トラブルの
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こども家庭庁は、令和4年(2022年)の一年間で、全国の保育所・幼稚園などをはじめとした教育・保育施設等において、死亡・重篤な負傷等を含む重大事故が2461件発生していたと公表しました。
保育園や幼稚園の現場では、さまざまな理由・原因によって事故が発生しています。遊具などの設備に起因する事故や、水遊び中、食事中など保育士・保育教諭・幼稚園教諭の不注意などから事故が生じるケースもあります。
保育園や幼稚園で発生する事故は、園児のケガにつながるだけでなく、最悪の場合は死亡事故に発展するおそれもあります。もし子どもが保育園や幼稚園で事故に巻き込まれた場合には、速やかに損害賠償請求などの対応を検討しましょう。
また不適切保育が原因でさまざまなトラブルに発展するケースもあります。このような場合、園側に不適切保育の中止および再発防止を求めるとともに、不適切保育によってケガ・死亡事故が発生している状況においては損害賠償請求も検討することができます。
具体的には、以下のような内容が保育園・幼稚園事故として考えられます。
夏場の送迎バス内に園児が置き去りにされ、熱中症によって死亡した。
午睡(お昼寝)中に園児が寝返りを打ってうつぶせになってしまい、呼吸困難となり窒息した。
遊具の設置・管理の不備などが原因で、転落事故や園児が遊具に挟まれるといった事故が発生した。
プール遊びの最中に保育士・保育教諭・幼稚園教諭の監視が行き届かず、園児がおぼれた。
大きな食べ物や噛みにくい食べ物などをそのまま飲み込んでしまい、園児が窒息した。
走り回っている園児同士が接触し、骨折や歯が折れるなどの大けがをした。
原則として、子ども自身が原因で負ったケガなどについて損害賠償を請求することはできません。ただし、園側の監督義務違反も認められる場合には、保育士・保育教諭・幼稚園教諭や保育園・幼稚園の設置者に対して損害賠償を請求できます。
他の園児が原因でケガや死亡事故が発生した場合、加害園児の保護者に対して損害賠償を請求できます。また、保育士・保育教諭・幼稚園教諭や保育園・幼稚園の設置者に対しても、監督義務違反に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。
送迎バスへの置き去りなど、保育園・幼稚園側の原因により事故が発生した場合は、保育士・保育教諭・幼稚園教諭や、保育園・幼稚園の設置者に対して損害賠償を請求できます。
保育士・保育教諭・幼稚園教諭は、園内において園児が事故に遭わないように、必要な監督を行う義務を負っています。監督義務に違反した保育士・保育教諭・幼稚園教諭に対しては、不法行為に基づく損害賠償を請求可能です。
ただし、保育園・幼稚園が国立・公立である場合には、保育士・保育教諭・幼稚園教諭の個人責任は追及できず、保育園・幼稚園の設置者の責任を追及できるにとどまります。
保育士・保育教諭・幼稚園教諭の監督義務違反が認められる場合には、私立であれば使用者責任、国立・公立であれば国家賠償責任に基づき、地方自治体など保育園・幼稚園の設置者に対して損害賠償を請求できます。
他の園児の行為が原因で事故が発生した場合、加害園児本人は責任能力がないため損害賠償責任を負いませんが、加害園児の保護者に対して監督義務者の責任に基づく損害賠償を請求できます。
本来であれば損害賠償責任を負うべき者(保育士・保育教諭・幼稚園教諭、設置者、加害園児の保護者)が、保育園・幼稚園における事故の損害賠償をカバーする保険に加入している場合には、保険会社に対して保険金の支払いを請求することになります。
保育士などによる不適切保育は、保育園・幼稚園における事故の主要な原因のひとつです。
「不適切保育」という言葉の定義は一意ではありませんが、一例として以下のような定義が示されています。
「不適切な保育」とは、「保育所での保育士等による子どもへの関わりについて、保育所保育指針に示す子どもの人権・人格の尊重の観点に照らし、改善を要すると判断される行為」とする。
引用:「不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き」(株式会社キャンサースキャン)p3
そのうえで、同手引きでは、不適切な保育に当たるものとして、以下のような行為類型が挙げられています。
また、こども家庭庁のガイドラインでは、不適切な保育を「虐待等と疑われる事案」と定義しています。
出典:「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」(こども家庭庁)p6-7
以下は「不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き」(株式会社キャンサースキャン)における「不適切な保育」の定義に沿った具体例です。
「バカ」「アホ」「悪い子だね」など、保育士らが園児の心を傷つけるような乱暴な言葉を使用することは、不適切保育に当たると考えられます。
園児を閉じ込めたり置き去りにしたりする行為は、保育士らによる適切な状況観察などを不可能にするものであるため、不適切保育に当たると考えられます。
他の園児が見ている前で罵倒する、すぐに親を呼び出して帰宅させるなどの行為は、たとえ園児に何らかの問題行動があったとしても、必要な限度を超えて過剰な罰を与えるものであるため、不適切保育に当たると考えられます。
保育士らが園児に対して暴力を振るう行為は、どんな状況であっても不適切保育に当たると考えられます。保育士らは、園児に対する体罰は厳に慎み、言葉でコミュニケーションをとらなければなりません。
園児を怒鳴りつける行為は、園児の心に深い傷を負わせるおそれがあるため、不適切保育に当たると考えられます。
まずは園長など、保育園・幼稚園の管理者に相談して、保育内容の改善を求めましょう。管理者が問題状況を正しく把握すれば、保育士らに対する指導が行われ、不適切保育が行われなくなる可能性があります。
保育園・幼稚園側に相談したにもかかわらず、迅速に対応してもらえない・状況が変わらないといった場合は、自治体の窓口へ相談することも方法のひとつです。一般的な対処法についてアドバイスを受けられるとともに、状況によっては、保育園・幼稚園側に対する調査や是正指導を行ってもらえる可能性があります。
保育園・幼稚園側に対して不適切保育の中止・再発防止を求めたい場合や、子どものケガ・死亡に関して損害賠償を請求したい場合には、弁護士に相談しましょう。依頼者の代理人として、これらの対応に必要な手続きを代行してもらえます。
保育園・幼稚園における事故に関して、誰がどのような責任を負うのかは、事故の発生状況によって異なります。
弁護士に依頼すれば、法的責任の所在を専門的な見地から分析したうえで、適切なアプローチによって責任追及を行うことができます。
保育園・幼稚園におけるトラブルについては、再発防止や損害賠償などに関して、保育園・幼稚園側との交渉が生じることは避けられません。
弁護士に依頼すれば、保育園・幼稚園側との交渉を全面的に代行してもらえます。ご自身で交渉に臨む負担が大幅に減るうえに、弁護士が法的な論理に基づく主張を行うことにより、適切な解決を得られる可能性が高まります。
また、あまり大ごとにしたくない・弁護士に依頼したことを知られたくないといった場合は、弁護士が表に立たずに、後方支援という形でサポートすることも可能です。
後方支援の場合には、保育園・幼稚園側とのやり取り・交渉はご依頼者さまに行っていただき、弁護士は文書の作成や交渉のポイントなどについてアドバイスし、ご依頼者さまをバックアップいたします。
保育園・幼稚園における事故・トラブルは園内で発生するため、園児の保護者としては、発生した事故・トラブルの状況の把握や証拠の確保を行うことが困難です。適切な形で問題を解決するためには、保育園・幼稚園側の調査に関する協力が欠かせません。
弁護士に依頼すれば、交渉または法的手続きを通じて、保育園・幼稚園側に対して必要な調査を行うように要請してもらえます。弁護士の要請によって必要な調査が行われれば、適切な形での問題解決が近づきます。
保育園・幼稚園における事故について損害賠償を請求する際には、事故や被った損害に関する証拠を確保する必要があります。しかし、事故の種類や状況によって確保すべき証拠が異なるうえに、証拠が園内に存在する場合は確保の方法も大きな問題です。
弁護士に依頼すれば、事故の状況に応じた証拠確保の方法について、具体的なアドバイスを受けられます。弁護士の協力を受けて十分な証拠を確保できれば、適正額の損害賠償を受けられる可能性が高まります。
保育園・幼稚園側や加害園児の保護者に対する損害賠償請求に当たっては、示談交渉に加えて、訴訟などの法的手続きへの対応が必要になることもあります。特に訴訟手続きは専門性が高く、敗訴すると取り返しがつかないため、ご自身で対応することは非常に大変です。
弁護士には、保育園・幼稚園における事故の損害賠償請求について、訴訟代理人としての活動を依頼できます。裁判所へ提出する資料の準備や期日への出席などを、すべて弁護士に一任できるので安心です。弁護士が法的に説得力のある主張を行うことにより、有利な判決を得られる可能性が高まります。
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