保育園・幼稚園事故の
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こども家庭庁は、令和5年(2023年)の一年間で、全国の保育所・幼稚園などをはじめとした教育・保育施設等において、死亡・重篤な負傷等を含む重大事故が2772件発生していたと公表しました。
保育園や幼稚園の現場では、さまざまな理由・原因によって事故が発生しています。遊具などの設備に起因する事故や、水遊び中、食事中など保育士・保育教諭・幼稚園教諭の不注意などから事故が生じるケースもあります。
保育園や幼稚園で発生する事故は、園児のケガにつながるだけでなく、最悪の場合は死亡事故に発展するおそれもあります。もし子どもが保育園や幼稚園で事故に巻き込まれた場合には、速やかに損害賠償請求などの対応を検討しましょう。
具体的には、以下のような内容が保育園・幼稚園事故として考えられます。
夏場の送迎バス内に園児が置き去りにされ、熱中症によって死亡した。
午睡(お昼寝)中に園児が寝返りを打ってうつぶせになってしまい、呼吸困難となり窒息した。
遊具の設置・管理の不備などが原因で、転落事故や園児が遊具に挟まれるといった事故が発生した。
プール遊びの最中に保育士・保育教諭・幼稚園教諭の監視が行き届かず、園児がおぼれた。
大きな食べ物や噛みにくい食べ物などをそのまま飲み込んでしまい、園児が窒息した。
走り回っている園児同士が接触し、骨折や歯が折れるなどの大けがをした。
保育士・保育教諭・幼稚園教諭は、園内において園児が事故に遭わないように、必要な監督を行う義務を負っています。監督義務に違反した保育士・保育教諭・幼稚園教諭に対しては、不法行為に基づく損害賠償を請求可能です。
ただし、保育園・幼稚園が国立・公立である場合には、保育士・保育教諭・幼稚園教諭の個人責任は追及できず、保育園・幼稚園の設置者の責任を追及できるにとどまります。
保育士・保育教諭・幼稚園教諭の監督義務違反が認められる場合には、私立であれば使用者責任、国立・公立であれば国家賠償責任に基づき、地方自治体など保育園・幼稚園の設置者に対して損害賠償を請求できます。
他の園児の行為が原因で事故が発生した場合、加害園児本人は責任能力がないため損害賠償責任を負いませんが、加害園児の保護者に対して監督義務者の責任に基づく損害賠償を請求できます。
本来であれば損害賠償責任を負うべき者(保育士・保育教諭・幼稚園教諭、設置者、加害園児の保護者)が、保育園・幼稚園における事故の損害賠償をカバーする保険に加入している場合には、保険会社に対して保険金の支払いを請求することになります。
保育所の園庭にある雲梯で発生した事故により死亡した園児の両親
死亡した園児が通っていた保育所を運営する社会福祉法人、園長・担任保育士個人
事故当時、3歳児クラスに在籍していた園児が、園庭に設置されていた雲梯のV字型開口部に頚部(首)を挟まれて低酸素脳症に陥り、その後死亡しました。なお、事故が発生した雲梯にある上向きのV字型開口部は、開口角度が遊具の安全基準を満たしていませんでした。
死亡した園児の家族が、保育所を運営する法人および園長・担任保育士個人に対して損害賠償を求めた事案です。
裁判所は、以下のような理由から、保育所を運営する法人に対して不法行為に基づく損害賠償を認め、約3100万円の損害賠償の支払いを命じました。一方で、園長および担任保育士個人に対する不法行為責任は認めませんでした。
園児同士の衝突事故により後遺障害を負った園児
幼稚園を運営する学校法人
事故当時、年中クラスに所属していた園児(原告)が、遊戯室の外にある道具箱に遊具を片づけ、遊戯室に戻ろうとしていた際に、遊戯室から道具箱に向かって走ってきた別の園児と衝突しました。園児(原告)は、頭を強く打ち内斜視の後遺障害を負い、衝突した相手園児も前歯が折れるケガを負いました。
内斜視の後遺障害を負った原告の家族が、幼稚園を運営する学校法人側に対して安全配慮義務違反があるとして、損害賠償を求めた事案です。
裁判所は、以下のような指摘をし、衝突事故と内斜視の因果関係を認めました。そのうえで、園側に安全配慮義務違反があったとして、2028万円の損害賠償の支払いを命じました。
保育園・幼稚園における事故に関して、誰がどのような責任を負うのかは、事故の発生状況によって異なります。
弁護士に依頼すれば、法的責任の所在を専門的な見地から分析したうえで、適切なアプローチによって責任追及を行うことができます。
保育園・幼稚園における事故については、再発防止や損害賠償などに関して、保育園・幼稚園側との交渉が生じることは避けられません。
弁護士に依頼すれば、保育園・幼稚園側との交渉を全面的に代行してもらえます。ご自身で交渉に臨む負担が大幅に減るうえに、弁護士が法的な論理に基づく主張を行うことにより、適切な解決を得られる可能性が高まります。
また、あまり大ごとにしたくない・弁護士に依頼したことを知られたくないといった場合は、弁護士が表に立たずに、後方支援という形でサポートすることも可能です。
後方支援の場合には、保育園・幼稚園側とのやり取り・交渉はご依頼者さまに行っていただき、弁護士は文書の作成や交渉のポイントなどについてアドバイスし、ご依頼者さまをバックアップいたします。
保育園・幼稚園で発生した事故は、園児の保護者が事故の状況の把握や証拠の確保を行うことが困難です。適切な形で問題を解決するためには、保育園・幼稚園側の調査に関する協力が欠かせません。
弁護士に依頼すれば、交渉または法的手続きを通じて、保育園・幼稚園側に対して必要な調査を行うように要請してもらえます。弁護士の要請によって必要な調査が行われれば、適切な形での問題解決が近づきます。
保育園・幼稚園における事故について損害賠償を請求する際には、事故や被った損害に関する証拠を確保する必要があります。しかし、事故の種類や状況によって確保すべき証拠が異なるうえに、証拠が園内に存在する場合は確保の方法も大きな問題です。
弁護士に依頼すれば、事故の状況に応じた証拠確保の方法について、具体的なアドバイスを受けられます。弁護士の協力を受けて十分な証拠を確保できれば、適正額の損害賠償を受けられる可能性が高まります。
保育園・幼稚園側や加害園児の保護者に対する損害賠償請求に当たっては、示談交渉に加えて、訴訟などの法的手続きへの対応が必要になることもあります。特に訴訟手続きは専門性が高く、敗訴すると取り返しがつかないため、ご自身で対応することは非常に大変です。
弁護士には、保育園・幼稚園における事故の損害賠償請求について、訴訟代理人としての活動を依頼できます。裁判所へ提出する資料の準備や期日への出席などを、すべて弁護士に一任できるので安心です。弁護士が法的に説得力のある主張を行うことにより、有利な判決を得られる可能性が高まります。
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