学校内の遊具や用具によるケガ、屋上や窓からの転落、プールや部活動での事故など、学校事故により児童や生徒がケガをした場合、被害者は慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の金額や請求先は、事故原因や「国公立」か「私立」などによって変わります。学校事故における慰謝料の種類や請求先、相場の目安について解説します。
そもそも慰謝料とは、事故に遭った被害者やその家族が受けた精神的苦痛を金銭で補償するもので、損害賠償請求の一部にあたります。
学校事故では、児童や生徒が「ケガをする」「後遺障害を負う」「死亡する」等の場合に慰謝料が生じます。治療費や休業損害といった支出とは異なり、目に見えない心の苦しみを金銭で評価するため、金額は事案ごとに大きく異なるのが特徴です。
慰謝料と一口にいっても、事故による入院や後遺障害、死亡など、被害の種類ごとに異なります。以下は主な慰謝料の種類とその概要です。
| 入通院慰謝料 (傷害慰謝料) |
学校事故によるケガや病気を治療するために、入院または通院を強いられたことにより生じる精神的損害に対しての賠償金 |
|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 学校事故によるケガや病気が完治せず、後遺障害を負った場合に生じる精神的損害に対しての賠償金 |
| 死亡慰謝料 | 学校事故で児童・生徒が死亡した場合に、本人に生じる精神的損害に対しての賠償金 |
| 近親者慰謝料 | 学校事故で児童・生徒に重い後遺障害が生じた場合、または死亡した場合に近親者に生じる精神的損害に対しての賠償金 |
学校で事故が発生しても、必ずしも慰謝料請求が認められるわけではありません。
慰謝料請求が認められるのは、教職員や学校側に「安全配慮義務違反」などの過失が認められる場合や、加害児童・生徒に責任がある場合などに限られます。単なる不慮の事故や不可抗力による事象では慰謝料請求は難しいのが実情です。
請求の可否や範囲については、個別事情を踏まえた法的判断が必要となりますので、まずは弁護士への相談を検討しましょう。
| 学校の設置者 |
・国公立学校の場合
学校の設置者=国または地方公共団体です。国家賠償法に基づいて国や地方公共団体に慰謝料を請求できます。 ・私立学校の場合
学校の設置者=学校法人です。使用者責任または工作物責任に基づいて、私立学校を運営する学校法人に慰謝料を請求できます。 |
|---|---|
| 教職員 (私立の場合) |
私立の場合に限り、教職員個人の安全配慮義務違反を理由として、教職員に対して慰謝料を請求できます。 なお、国公立の教職員に対して個別に請求することはできません。国や地方公共団体が請求先になります。 |
| 加害児童生徒 または その保護者 |
事故が児童・生徒の故意または過失による行為で発生した場合、本人に直接請求できます。ただし、児童・生徒に責任能力がない(おおむね10歳〜12歳未満)場合は、監督義務者である親(保護者)に請求します。 |
国公立の場合、小中学校の設置者は「市区町村」、高校の設置者は「都道府県」であるケースが多いといえます。
また法律上は、私立学校の教職員が責任を負うことがあり得ますが、実際の慰謝料の請求先としては学校法人となることも多く、教職員個人への請求をするかどうか、慎重に検討すべきです。
事故が児童・生徒の行為による場合は、責任能力は12歳前後が目安ではありますが、状況によって個別判断されるため注意が必要です。
学校事故の被害に遭った場合、学校側や加害者に対して請求する慰謝料の算定は難しい問題です。もっとも、一定の参考にすべき考え方はありますので、ご紹介します。
学校事故によって入通院が必要になった場合、被害者はどの程度の慰謝料を請求できるのでしょうか。学校事故には明確な基準が設けられていませんが、近い例として交通事故における算定基準を参考にすることができます。そこで、基準が明確に定められている交通事故のケースをもとに考えてみましょう。
なお、学校事故に交通事故と同一の基準がそのまま適用されるわけではありません。以下の表は、あくまで参考としてご覧ください。
骨折や手術を伴う重傷事故など他覚的所見が認められる場合に適用される慰謝料算定基準です。
※上記は交通事故の場合の算定基準です。
金額は、入通院期間が長くなるほど大きくなり、精神的苦痛を十分に反映できるよう設計されています。たとえば入院と通院を合わせて数か月に及ぶケースでは、100万円を超える慰謝料になることもあります。
なお、通院が長期にわたる場合は、症状・治療内容・通院頻度を踏まえて、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定の通院期間の目安とされることもあります。
※上記は交通事故の場合の算定基準です。
捻挫や打撲など軽傷のみのケースには、上記の慰謝料算定基準が適用されます。上記基準は、生じたケガの内容によって適用される慰謝料算定表が分かれるのが特徴ですので、ご自身の症状に応じた算定表を選択することが重要です。
なお、通院が長期にわたる場合は、症状・治療内容・通院頻度を踏まえて、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定の通院期間の目安とされることもあります。
弁護士基準の慰謝料算定表は、縦軸に通院期間、横軸に入院期間があり、交差するマスに目安となる慰謝料額が示されています。
たとえば、上記の通り「入院1か月・通院4か月」の場合、該当箇所は130万円となり、これが精神的苦痛に対する慰謝料の目安です。
学校事故は、加害生徒・教職員・学校法人・国や自治体など関係する主体が多く、誰に責任を追及できるのか判断が難しいケースが少なくありません。そのため、被害者や保護者が適切な慰謝料を受け取るには、専門的な知識と経験が必要です。
弁護士は、事故原因の調査や証拠収集、請求先の特定、弁護士基準による適正な慰謝料算定まで一貫してサポートいたします。示談交渉や訴訟対応も任せられるため、正当な補償を得るためにも早めに弁護士に相談することをおすすめします。
学校での問題・トラブルの
法律相談予約はこちら