学校事故で子どもがケガをした場合、保護者は子どもに適切な治療を受けさせつつ、正しい手順で損害賠償・慰謝料請求を進めることが重要です。
本記事では、事故直後から賠償金受領までの流れを解説します。
子どもが学校事故に遭ってしまったら、まずは医療機関で適切な治療を受けさせましょう。軽症に見える場合でも、必ず受診して診断書を取得することをおすすめします。診断書は「学校管理下で発生したケガである」ことを証明する公的な書類となります。
また、通院日数や治療内容は慰謝料や損害額の算定に影響するため、治療記録・治療器具の費用・領収書(明細書も含む)・交通費の記録なども併せて保管します。
次に、学校側に事故発生時の状況について事実確認を行います。ヒアリングの際は以下を確認するとよいでしょう。
| 確認事項 | 事故の日時・発生時の状況・場所・原因・(いれば)加害者・目撃者・対応措置(教職員は何をしていたかなど)・再発防止策など |
|---|---|
| 確認する相手 | まずは担任や養護教諭から聞き取り、さらに対応を求めたいときは学校の責任者として教頭や校長に面談を申し込む |
面談は直接対面か、難しければ電話でもかまいません。確認した内容を記録・メモに残します。可能であれば現場の写真や事故に関与した児童生徒の情報なども取得しておきましょう。
また、多くの学校が「事故報告書」や「保健室日記」などで事故状況を記録します。こちらも開示が可能か確認し、コピーをもらっておくと、損害賠償・慰謝料請求に発展した場合に対応がスムーズになります。
「学校の管理下」で生じた負傷、疾病に対しては、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度を利用することができ、医療費等の支給を受けることができます。
学校で起きた事故であれば、この制度を利用することができる可能性が高いため、利用を検討しましょう。なお、災害共済給付金で医療費の給付を希望する場合は、医療機関を受診した月から2年以内に請求を行う必要があります。
治療を継続した結果、ケガが完治する場合もあれば、「症状固定」と診断されるケースもあります。症状固定とは、治療を継続しても治癒が見込めないと医師が判断した状態です。症状固定後も残った病状を「後遺障害」(後遺症)といいます。また重篤な事故であった場合、死亡に至ることもあるでしょう。
こうした個々の状態によって損害賠償の対象となる範囲が確定していきます。
後遺障害が残った場合は、医師と相談しながら、日本スポーツ振興センターに対して後遺障害等級の申請を検討します。診断書・画像資料・症状経過をまとめます。後遺障害等級は、等級によって損害賠償額が大きく変わります。
適切な後遺障害の等級認定を受けるためには医師による正確な診断書や、弁護士のサポートが重要です。後遺症が残っても安心して生活できるよう、賠償額・慰謝料について早めの相談をおすすめします。
治癒や後遺障害等級が確定したら、学校・自治体・加入保険会社・加害者などと損害賠償額の交渉に入ります。
医療費・通院交通費・休業損害・慰謝料など請求項目を整理し、妥当な賠償額を提示します。
交渉の段階では、相手側が比較的低い金額を提示してくることも珍しくありません。法に基づいた適切な金額の算出や交渉は、弁護士に任せることで安心して進めることができます。
話し合いで解決できない場合は、裁判所での調停や民事訴訟を利用します。証拠整理が重要となるため、事故直後からの学校とのやり取り(事実確認の記録)、医療記録などの証拠が、法的な手続きにおいて大きな役割を果たします。
損害賠償金や慰謝料は、多くの場合、ケガの完治または後遺障害等級が確定した後の示談交渉を経て支払われます。
損害賠償・慰謝料の受け取りは事故の規模によって異なりますが、1か月~数か月かかる場合もあります。特に後遺障害があるケースでは、等級認定が損害額算定の前提となるため、受け取りまで時間がかかることも多くなります。
また、交渉がまとまらず裁判になった場合は、判決確定後に支払いが行われます。裁判は1年以上かかることも珍しくありません。
学校事故の損害賠償請求には法律上の時効があり、期限を過ぎると正当な賠償を受けられなくなる可能性があります。そのため早めの行動が大切です。
学校事故における損害賠償請求の時効は以下のとおりです。
| 損害の種類 | 時効期間 |
|---|---|
| 物的損害 (物の破損など) |
事故発生日から3年 |
| 人的損害 (ケガ・後遺症・死亡など) |
事故発生から5年が原則 |
| 加害者不明の場合 (物的損害・人的損害) |
事故発生日から20年 |
物的損害・人的損害のいずれも、一定期間が経過すると相手側が時効を主張することで賠償請求が認められなくなるリスクがあるため、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
人的損害(ケガや後遺症)の場合、「債権者が権利を行使することができることを知った時」もしくは「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」から5年間とされています。
基本的には事故発生日を時効の起算点(期間の開始日)とするとされていますが、後遺障害に関連する損害については、「症状固定日」を時効の起算点とするとされています。もっとも、起算点の解釈について加害者側と争いとなる場合もあるため、個別の状況に合わせて弁護士から法的アドバイスを受けることをおすすめします。
なお、物的損害・人的損害どちらも、加害者が特定できない場合には20年で時効が成立します。
学校事故の損害賠償(慰謝料)請求では、弁護士のサポートが有効な場面が数多くあります。以下では、弁護士ができるサポートを具体的に説明します。
弁護士は、診断書の取得方法、通院記録の整理、症状の伝え方などを助言し、必要な証拠が集められるようサポートします。また治療内容や通院頻度は賠償額(慰謝料額)に直結するため、後に不利益が生じないようアドバイスします。
これらのサポートは損害賠償請求だけではなく、災害共済給付金の申請や適切な後遺障害等級認定を受ける際にも役立ちます。
弁護士が医師面談を実施し、申請に必要な医学的意見書を取得することも可能ですので、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
※災害共済給付金や後遺障害等級認定の書類記入・提出手続きは、ご依頼者さまご自身で行っていただきます。
弁護士は、事故の個別事情や子どもの将来への影響を踏まえ、適正な損害賠償額を算定します。相手側から不当に低い金額を提示されるようなケースでは、法的根拠に基づきしっかりと反論します。
また、学校・自治体・保険会社・加害者との交渉を代理することで、ご依頼者さまの精神的・時間的負担などを軽減します。この際、弁護士が表立って交渉せず、有効な交渉方法のアドバイスのみを行うことも可能です。
交渉で解決しない場合には、調停・裁判などの手続きにも対応し、適正な賠償獲得を目指してサポートします。
学校事故の損害賠償請求には、治療記録の整理、損害額算定、交渉など専門的な手続きが数多く存在します。保護者の方だけで対応しようとすると、必要な証拠がそろわなかったり、保険会社や学校側との交渉で不利になったりするおそれがあります。
弁護士に相談すれば、事故直後から賠償金の受け取りまで一貫したサポートを受けられ、適正な慰謝料や損害賠償を獲得しやすくなります。学校側との交渉に不安がある方は、早めの相談をおすすめします。
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